ミニ・エレクトリック(クーパーS E)初試乗 EVになっても、ミニは変わらず

公開 : 2019.08.08 06:20

パワートレイン BMW i3から

とはいえ、よく見れば小さな違いがいくつかあることに気付く。その中で最も顕著な点は、手動式ハンドブレーキに替わり、ミニ・ハッチバックで初めて電動式パーキングブレーキが採用されたことだ。ギアのない電動パワートレインには合っている。

他にも、回生ブレーキの強さを切り替えるモードが備わり、デジタル・ディスプレイには電気エネルギーの流れやパワー・レベルを表示する画面が追加された。

「最高出力184ps、最大トルク27.5kg-m」
「最高出力184ps、最大トルク27.5kg-m」

ミニ・エレクトリックはレトロなボディの下に、BMW i3から流用した電動パワートレインが搭載されている。32.6kWhのT型バッテリーから電気の供給を受けるモーターは、最高出力184psと最大トルク27.5kg-mを発生。

i3と異なるのは、このモーターが前輪を駆動することだ。0-100km/h加速は7.3秒、最高速度は150km/h。このバッテリー容量によるWLTPモードの航続距離は、約200kmから230kmと発表されている。近々発売されるホンダeと同程度だが、プジョーe208やオペルコルサeなどのライバルには及ばない。

運転すると?

われわれは、量産仕様ミニ・エレクトリックを試乗する最初のジャーナリストたちに同行した。とはいえ、今回の試乗は全長2.374kmのフォーミュラE用ブルックリン・ストリート・サーキットを数周する短いもので、速度も制限されていた。それでも、以前プロトタイプに試乗した記者による最初の印象を確認するには十分だった。それはつまり、電動パワートレインはミニと非常に相性が良いということだ。

電気モーターの瞬時に起ち上がるトルクは、どの速度域からでも素早く加速できる。BMWの新しいARBトラクション・コントロールのお陰で、トルクが強大でも加速時のスムーズさは保たれる。加速性能は、明らかにミニ・クーパーSと互角だ。

「加速性能は、明らかにミニ・クーパーSと互角だ」
「加速性能は、明らかにミニ・クーパーSと互角だ」

ステアリングもダイレクトで楽しい。舵角を当てると、即座に反応して急速に向きを変える。車体に低く搭載されたバッテリーによる重量増は、ほとんど気にならない。乗り心地も良い。ブルックリン・クルーズ・ターミナルに設置されたストリート・サーキットは、舗装が古いため荒れた路面に多くのバンプがあったが、振動はうまく吸収されている。

ワンペダル運転も可能

先日プロトタイプに試乗したもっと小さなホンダeほど、ダイレクト感や軽快感は感じられないものの、ミニ・エレクトリックはホンダeより大きくて実用性が高いクルマだ。狭い市街地を抜け出せば、こちらの方がずっと便利なクルマであることが証明されるだろう。

3つのドライブモードには「スタンダード」「ミド」「スポーツ」が用意されている。これは想像されるとおり、標準モデルのミニからパフォーマンスを切り替えるシステムを継承したものだが、ミニ・エレクトリックの場合は使い方次第で航続距離を伸ばすことにもなる。

「ホンダeの試作車ほど軽快感はないが、実用性は上か」
「ホンダeの試作車ほど軽快感はないが、実用性は上か」

ミニ・エレクトリックは多くのEVと同様に、回生ブレーキの強さを変更することができる。一番強い設定を選ぶと、タイトなコーナーでもなければ、ほとんどブレーキペダルに触れることなく走ることが可能だ。このドライビング・スタイルも、長年ミニ・ブランドを支えてきたキャラクターと非常に相性が良い。

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