2年に1度のビンテージカーの祭典 フランス「ビンテージ・モンレリ」レポート 前編

公開 : 2019.08.10 07:50  更新 : 2021.02.02 12:32

ハーレーダビッドソンやインディアンも参加

イベントの参加車両は型乗用車「サイクルカー」からグランプリマシン、レプリカまで慎重に選別される。3台のタイプ59は新しく見えるし、発するサウンドも素晴らしいものだったが、うち2台は長く放置されていたものを再生して、今回が初参加となった。

レプリカ車両には、セミモノコック・シートメタル・シャシーにエンジンが露出したミドシップレイアウトのグランプリマシン、エルフも含まれていた。1920年のルマン・サイクルカー・グランプリに参戦している。エルフとレイヤ・ヘリカが混走するのを見れるのは、このビンテージ・モンレリだけだろう。

フランス「ビンテージ・モンレリ」
フランス「ビンテージ・モンレリ」

フランスのテロー社のモデルなど、オートバイの参加車両も素晴らしい。チェコスロバキアから参加したパーベル・マラニクは、1909年にブルックランズで144km/hの最高速度を記録した、2.7LのJAP Vツインを搭載したNLGレコードマシンを忠実に再現。ボードトラック・スタイルのハーレー・ダビッドソンやインディアンなどに混ざって、オーバルコースを駆け抜けた。

レーシングドライバーのピッタウェイから、1926年式のツインキャブ・ハーレーダビッドソンを借りたジョン・ハリソンがラップを刻む。「こんな素晴らしく速いマシンに乗る機会が得られて嬉しいし、役得ですね」 とフルスロットルで楽しんだハリソンが話していた。

この「ビンテージ・モンレリ」は、イベントを盛り上げるために、当時のレースサポート車両や、レーシングウェアなどの持ち込みも推奨している。ミシェル・コレットが持ち込んだダービー・ベントレー・バンがその中でも存在感を放つ。

サポート車両やレーシングウェアも当時物

「元の車両は、40年ほど前にロンドンで購入しましたが、コーチビルダーのパーク・ウォードが手掛けたボディはひどい状態でした。オースチン・セブンのシングルシーターでレースを初めた時に、このクルマをレースマシンを牽引するバンに改造するアイデアを思いついたんです。フロント周りはレストアしましたが、リアセクションはわたしのオリジナルです」

前回の2017年には負傷者が出たこともあり、主催者は安全面でも厳しく管理している。サーキット内ではヘルメット着用が義務付けられた。出走車両にはオイル・キャッチタンクの装備、ヘッドライト・ガラスへのテーピング、スペアタイヤの取り外しなどがルールとして決められている。「ビンテージ・モンレリ」のスタイルに沿って、これらのルールはティエリー・デュボアのイラストによって美しく描かれ案内さている。

フランス「ビンテージ・モンレリ」
フランス「ビンテージ・モンレリ」

イベントは定例ともなっている内容で和やかに終わったが、サーキットのインフィールドは大規模な改修が入っている。コースのバンクは手つかずで大きく波打ったままが、雑草が茂り、木立が伸び放題だった空き地は消え、広いターマックエリアと無人運転車両のテストコースへと生まれ変わっていた。

「この開発は前向きなものだと思っています。この名門サーキットを失う可能性もありましたが、新たな投資が、未来へとつなぐことを可能にしました」 フランスのジャーナリスト、サージ・コルデが嬉しそうに話すのが印象的だった。

後編にて参加車両の一部をご紹介したい。

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