マニアひれ伏すV8+3シリーズ アルピナB8 4.6に試乗 20世紀メカニカルチューンの極み

公開 : 2019.10.27 05:50

イエローのE36 3シリーズ。しかしこれはBMW M3ではありません。特別なオーダーをへて、日本国内で大切にされた「B8 4.6」。吉田拓生が観察するとともに、試乗します。「メカニカルチューンの極み」と表現されています。

もくじ

マニアがひれ伏すV8+3シリーズ
メカニカルチューンの極みがここに
危うさこそ、B8 4.6の揺るがない価値

マニアがひれ伏すV8+3シリーズ

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

写真に写ったダカールイエローのE36 3シリーズを見て、ほとんどの人がBMW M3を想像したに違いない。

だがよく見てみれば日本ではあまり見かけない4ドアモデルだし、フロントには象徴的なALPINAの文字を掲げたチンスポイラーが鎮座している。

ダカールイエローと4ドアボディが見慣れない雰囲気を作り出すアルピナB8 4.6。この個体はサイドスカートやミラーといったパーツが新車時にアルピナ社によって組み込まれている。
ダカールイエローと4ドアボディが見慣れない雰囲気を作り出すアルピナB8 4.6。この個体はサイドスカートやミラーといったパーツが新車時にアルピナ社によって組み込まれている。

アルピナのイメージカラーである特徴的なグリーンやブルーに塗られてはいないが、ボディサイドのデカールやリアエンドのエンブレムが証明しているように、これはアルピナ、それもB8 4.6なのである。

オーナーの張健中さんにとってこのB8 4.6は2台目。1台目はもらい事故で全損になってしまったため、再び同じクルマを注文している。

しかもその時、人と違う色のクルマが好きだという張さんは、E36 M3のイメージカラーだったダカールイエローに塗ってもらったのだという。

実はサイドミラーやサイドスカート、リアバンパーもM3用が装着されているが、これもアルピナ社に注文した新車時からの装備だという。

アルピナの良さは、普通の人が見たらBMWそのものなのにクルマ好きからは尊敬の眼差しが注がれる点だろう。

中でもB8 4.6の良さは、見た目は直6搭載のアルピナと変わらないのに、リアのエンブレムを見た瞬間に本当のマニアだけがひれ伏す点にある。

メカニカルチューンの極みがここに

自動車メディアに職を求めるメリットは、言わずもがな色々なクルマに触れられることにある。運が良ければアルピナを運転できるチャンスだってあるかも知れない。

今から24年前、筆者が初めて運転したアルピナがB8 4.6だった。

どちらかといえば山道よりも高速道路が良く似合うB8 4.6。スピードを上げれば上げるほど走りが軽くなるのがアルピナらしい部分。絶妙なロールでコーナーを抜けていく。リアスポイラーもアルピナ製となる。
どちらかといえば山道よりも高速道路が良く似合うB8 4.6。スピードを上げれば上げるほど走りが軽くなるのがアルピナらしい部分。絶妙なロールでコーナーを抜けていく。リアスポイラーもアルピナ製となる。

「アルピナの広報車、引き取ってきて」と先輩に言われてステアリングを握ることになった1台が、後に伝説的に扱われることになるB8 4.6だったのである。

シャーンと鋭く吹け上がるV8エンジンに感動し、意味もなく何度も空吹かしをして排気音に浸ってしまったのは若気の至り。以来、アルピナ党を自負している。

久しぶりに出会ったB8 4.6はダカールイエロー。オドメーターに9万km台の数字が刻まれているが、よほど大事に乗られてきたのであろう外装にも内装にも全くやれた感じがない。

シートはアルピナのファブリックで覆われたレカロ製である。アルピナのステアリングには上質な革が張りこまれ、300km/hまでメモリが振られたスピードメーター等の文字盤はアルピナの定石通りつや消しのブルーに塗られている。

キーを捻るとブルッと1回ボディを揺らして、アルピナ謹製のV8エンジンが目覚めた。重めのスロットルをやさしく踏み込んでレスポンスを確かめると、金属同士が滑らかにひしめき合うような、実に濃密な回り方をする。

20世紀のメカニカルチューンの極みがここにある! と喝采を叫びたくなる。

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