試乗 メガーヌR.S.トロフィー新型(EDC) 内装/スペック/価格、筑波で評価

公開 : 2019.11.12 19:25  更新 : 2021.12.28 00:14

メガーヌR.S.トロフィー新型を、筑波サーキットで試乗。300psのEDC車です。四輪操舵は、どのように機能したのでしょう。写真68枚でレポート。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

搭載するM5Pの最高出力は300ps、最大トルクは42.8kg-m(EDC車)。FFのスポーツモデルでもトップクラスのパワースペックである。

ところがメガーヌR.S.(ルノー・スポール)トロフィーの外観は意外なほど大人しい。地味と言ってもいいほどだ。

メガーヌ・ルノー・スポール・トロフィー
メガーヌ・ルノー・スポール・トロフィー

日常とレジャーで汎用性の高いCセグメントに位置するメガーヌをベースに、ルノー・スポールの手により仕立てられたワークス系カスタマイズスポーツがメガーヌR.S.である。

前記したパワートレインの他に強化されたシャシーやブレンボ製ブレーキ、後輪操舵機構により操安性と運動性の両立点を向上する4コントロール等々が採用される。このモデルをベースにさらに強化された専用シャシーやトルセンLSD等を採用し、限界走行性能を高めたモデルがR.S.カップであり、走行性能面での実質的な後継モデルがR.S.トロフィー(RSトロフィー)だ。

内外装 トロフィーの違い

また、アルカンターラを表皮に用いたレカロ製バケットシートや本革&アルカンターラコンビのステアリング、赤スポークをアクセントとした専用ホイールなどの専用艤装も加わり、メガーヌR.S.の上級設定仕様の一面も備えている。

しかし、これ見よがしのエアロパーツを装着するわけでもなく、真偽は別として、エアインレット/アウトレットを外観デザインのアクセントに用いるのも定番化した現在では、一目してハードコアスポーツと見抜ける人はそう多くないだろう。

専用装備のRECARO製フロントバケットシート(アルカンタラ)。
専用装備のRECARO製フロントバケットシート(アルカンタラ)。

見せびらかすことよりも個人の愉しみに深く入り込むタイプ。「能ある鷹は爪を隠す」というほど気取ってはいないが、熱い想いをスマートな佇まいで被った粋さに好感が持てる。

で、試乗コースは筑波サーキット。もう何年も走っていないが、個人的にオキニのコース。仕事だから常に観察者の目で……とは思うのだが、早朝からワクワクが止まらなかった。

どんな感じ?

限界を極めるべく繊細なコントロールに全身全霊を傾ける、とはならないのである。

全開加速から全制動となれば制動タイミングに相応に気を使うが、それほど神経質にならずに済む。クルマとの対話感と限界走行特有の緊張感が実に楽しい。

メガーヌ・ルノー・スポール・トロフィー
メガーヌ・ルノー・スポール・トロフィー

1つはどこでもトルクフルなエンジンと素直なブレーキのお陰。試乗車が6EDC(6速DCT)仕様だったこともあり、全制動からのコーナーへのアプローチでもペダルワークも楽々。

全制動から転舵に応じてじわりと減速を緩め、アペックス辺りまでブレーキを残す。

ここでのコントロール性の鍵はブレーキリリース時の特性。舵を深めて横Gが大きくなる舵角と横Gの増加と制動力の減少を確実に連動させるには、ペダルコントロールにリニアなリリース特性が必要。

この要求にR.S.トロフィーは見事に応えてくれる。後述する4コントロールの効果もあるのだが、リリース側の制動追従がいいとコーナー深くまで制動維持が容易になり、その結果コーナリングラインの選択肢やコントロールの幅が拡がる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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