911の姿をしたモンスター ルーフSCRとCTR アナログ・スーパーカーの挑戦 前編

公開 : 2019.11.30 07:50

ポルシェのチューニングで名高いルーフが生み出したルーフSCRとCTR。見た目は少し古いポルシェ911ですが、中身は大きく異なります。英国編集部は実態を確認するべく、ドイツ・バイエルンのルーフ社へと向かいました。

もくじ

ポルシェ550スパイダーに400ps以上のエンジン
農業が盛んな小さな町にあるルーフ社
3.6LターボのCTRと、4.0L自然吸気のSCR
964型ポルシェ911の姿をしたモンスター

ポルシェ550スパイダーに400ps以上のエンジン

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ルーフ・オートモビルの尋常ではない情熱を要約するのが、赤いタイル張りの床から180cmほど持ち上げられた、ポルシェ550スパイダーだろう。

小さなファイバーグラス製のボディは、後半が外され鋼管フレームが顕になっている。そこに覗くのは、古い1498ccのフラット4ではない。エンジニアのラファエル・リースミュラーによれば、ルーフ製の4.1Lフラット6、メッツガー・エンジンの搭載を待っている車体だという。これがルーフだ。

ルーフSCRプロトタイプ
ルーフSCRプロトタイプ

ディスクブレーキやコイルオーバーのサスペンションも当時物ではない。400ps以上のエンジンを、1950年代生まれの550の軽量なシャシーに搭載するという発想。普通の人なら考えつかないようなことだが、依頼次第でルーフは応じてくれる。

「運転はかなりチャレンジングなものでしょうね」 とリースミュラーが話すから安心した。次は3カ月の作業を間もなく終える、ダークグリーンの964型911カレラへ足を進める。

ルーフ仕様へのモディファイに要した費用は、20万から30万ユーロ(2400〜3600万円)だという。ルーフは、クルマをレストアしつつ、自車のイメージに沿ってゼロから作り上げていくため、費用はかなり掛かる。

ボディカラーと色が合わされたレザー内装の内側には、一体となったロールケージが隠れている。このルーフもビルシュタイン製のサスペンションが組まれ、3.6L空冷エンジンにはターボが取り付けられている。最後の仕上げを待つばかり。

農業が盛んな小さな町にあるルーフ社

現代のスポーツカーを持ってしても、ダークグリーンのルーフに一般道で追いつくことは難しいだろう。964型としての見た目やサウンドなど、機械的な雰囲気が保たれている。

ファクトリーの別の場所にはRT12Rがいた。ルーフ製の800psを誇るエンジンが搭載された911 GT2だ。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分以下でラップするという。ルーフ社を設立したアロイス・ルーフの息子で、現社長の所有車だという。

ルーフ社のワークショップの様子
ルーフ社のワークショップの様子

塗装ブースの外に停まっていた鮮やかなグリーンの356クーペも同じオーナーのクルマ。911の足まわりが組まれ、フラット4は180ps以上にチューニングを受けている。この場所に「普通」のものはない。

ガラス張りの受付の奥から、ニュルブルクリンクでCTRを派手にドリフト走行させたヒーロー、ステファン・ローザが姿を表した。ここにいる人物も特別な人ばかりだ。

ルーフのワークショップがあるのは、ドイツ・ミュンヘンの西、農業が盛んなプファッフェンハウゼンという小さな町。整備士だったルーフがチューニングショップをこの地に設立して、2019年に80周年を迎える。

1949年当時、既にガソリンスタンドが存在し、オクタン価102の無鉛プレミアムが手に入った。目の前には素晴らしい道路が広がり、アウトバーンにもアルプスにもすぐにたどり着ける。ルーフがこの地を離れる必要性を感じなかったことは、誰の目でも明らかだ。

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