【究極のセナ】マクラーレン・セナGTRに試乗 825ps ダウンフォース1000kg

公開 : 2019.12.10 09:50

許される限りの、マクラーレンのすべてを出し切ったモデルがマクラーレン・セナGTR。ルックスやサウンド、走行性能はモンスター級ながら、驚くほどの運転のしやすさも兼ね備えています。スネッタートン・サーキットで確かめました。

交通法規やレギュレーション無視の究極のセナ

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
一言でいうなら、マクラーレン最速のルーフ付きモデル。これより速いマクラーレンが欲しいなら、F-1チームに相談しなければならない。

一般道での法規制や、レースでのレギュレーションを無視してデザインされた、公道は走れない究極のセナだ。マクラーレンが本来セナをどのようなクルマにしたかったのか、明確に示されているともいえる。

マクラーレン・セナGTR
マクラーレン・セナGTR

ロードカーの通常のセナと共有する部分は多い。カーボン製のタブシャシーにエンジン、トランスミッションなど。しかし実際はかなりの部分で異なっている。

ボディには新設計のフロントスプリッターとリアデュフューザーを備え、フロントバンパー両脇には大きなダイブプレーンを装備。ボルテックス・ジェネレーターも付く。

ボディ後端から遥か後方へと飛び出た巨大なリアウィングは、特に目に付く部分だろう。一般道では違法なアイテムだが、サーキット上ではディフューザーと合わせて優れた空力効果を生み出す。

車高は通常のセナより34mmより低く、タイヤ部分のボディ幅は、フロントで77mm、リアで68mm広げられている。これらの変更によって、セナGTR通常のセナよりも低い速度域で、セナに匹敵するダウンフォースを生み出すという。しかも空気抵抗は少ない。

249km/hで1tのダウンフォースを発生

実際、249km/hで1tのダウンフォースを生み出すとのこと。ロードカーの新境地を拓いたセナより、200kgも強い力で地面に押さえつけられることになる。

マクラーレン・セナGTRはサーキットでしか走れない。通常のセナで採用されていた、知的ながらも車重のかさむ、複雑な車高調整式サスペンションは採用されていない。そのかわり、マクラーレン720S GT3レースカーのものをベースにした、軽量で一般的なサスペンションが搭載される。

マクラーレン・セナGTR
マクラーレン・セナGTR

エンジンには二次触媒は付かず、制御マッピングもGTR独自のもの。最高出力は825psで、通常のセナの25ps増し。1.0L当たりの出力は200psを軽く超えることになる。

インテリアは純粋なレーシングカーそのもの。骨格がむき出しとなり、主要なコントロールスイッチは上下が切り取られたステアリングホイールにレイアウトされている。運転中も手を伸ばす必要がなく、レーシンググローブをはめたままでも操作しやすい。

もっとも、6点ハーネスでシートに固定されると、手を伸ばすことすら不可能だけれど。

車重は通常のセナより10kgだけ軽量だという。サスペンションをシンプルなものにし、エアバックや触媒、インテリアのパネル類を取り外して軽くなったぶんは、追加となったボディキットにデーターログ・システム、エアジャッキと消化器で相殺されているためだ。

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