【オープンで濃密AMGを楽しむ】メルセデスAMG GT R プロ・ロードスターに試乗

公開 : 2020.01.05 10:20

メルセデスAMG GTの動力性能を引き上げたGT Rにもロードスターが登場。屋根のない開放感と刺激によって、GT Rの魅力をより高めることに成功しています。英国の郊外で、その個性の輝きを実感したようです。

2ドアのGT R プロにロードスター登場

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデスAMGが手掛けるコンパクト・ハッチバック、Aクラスも個性的な存在だが、AMGが更に一手間加えたスーパースポーツカーのGT Rの個性度合いも負けていない。

メルセデスAMG GT R プロにロードスターが加わり、GTと呼ばれるクルマは、ボディタイプやグレード違いなど、16種が存在することになった。こちらは2ドア版GTのプロで、オープンボディとなる。

メルセデスAMG GT R プロ・ロードスター
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスター

GT R プロ・ロードスターは、この一連のモデルの中でも最も際立つ存在だといえる。ポルシェでいうなら、911 GT3 RSのコンバーチブルに位置するのだから。

このGT R プロ・ロードスターには、ニュルブルクリンクで実力が光るGT R プロに次ぐ、ハードコアなシャシーセットアップを獲得。一方でルーフが切り取られ、ソフトトップに交換されている。ご存知の通り、通常はボディ剛性は弱くなり、それを補うために車重は増えるものだ。

GT Rの場合、クーペでもロードスターでも、空力性能やメカニズム、スペックなどに大きな違いは見受けられない。ロードスターの場合は、余計に目立つ大きなウイングを備え、4.0LのツインターボV8エンジンを搭載。最高出力は585psで、最大トルクは71.2kg-mとクーペと同値となる。

ダンパーは調整式で、GT Cよりトレッドが広げられたリアタイヤには、アクティブ後輪操舵システムも付く。ルーフを切断し強化された構造部分は、通常のGTロードスターと同じもの。3層のファブリック製フードを被り、クーペより80kg車重は重く1710kgとなる。

80kg増しの車重とシャシー剛性の変化

通常、最高のドライビング性能を与える時に、車重を80kg増やすことは考えないはず。スポーツカーレースの場合ならペナルティみたいなものだ。このAMG GT R ロードスターはどんな仕上がりなのか興味が湧く部分でもある。

加えてボディからルーフを取り除くと、車体剛性には少なからぬ影響がある。マクラーレンならカーボンファイバー製の強固なタブが存在するが、メルセデスAMGにはその用意はない。

メルセデスAMG GT R プロ・ロードスター
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスター

いささか混雑気味のスイッチを操作してアダプティブ・ダンパーを最も柔らかい設定にしても、管理の悪い路面を通過すると、不均一な振動がステアリングホイールに伝わってくる。フロントとリアのサスペンションは調和が取れていない。すべてはシャシー剛性が充分ではないことを物語っている。

4.0Lツインターボ・エンジンからは大量のノイズとパワーが放たれる。トランスアクスル・マウントされる7速デュアルクラッチATのレスポンスは良好。気持ちが上がる鮮烈な体験だが、高度な満足感や洗練性を味わえる種類のものでもない。

大音響に包まれながら、鋭い変速を繰り返していても、気分は高まってこない。ボディは大きく、フロント・ミドシップのレイアウトのおかげでボンネットは長大。

ドライバーはその後ろ、リアタイヤの近くに座ることになるうえに、フロントトレッドは幅が広く扱いにくく感じるためだ。

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