【ゴルフR譲りの300ps】フォルクスワーゲンTロックR 「R」は伊達じゃない

公開 : 2020.01.27 10:20

ゴルフRとほぼ同じハードウェアを内包し、今どきのルックスを獲得したTロックR。志向の変化に伴い、ゴルフRを超える人気を獲得する可能性も否定できない、高性能クロスオーバーを、英国の道で評価しました。

高速な全天候型のクロスオーバー

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ゴルフRで、4輪駆動の高性能ハッチバックを生み出す実力の高さを示す、フォルクスワーゲン。8代目へと代替わりをするにあたって、英国では7代目ゴルフRの販売が今年に入って終了してしまった。

そのかわりではないが、300psを獲得したTロックRが登場。この「R」が付くことで、自ずと極めて高速な、全天候型のクロスオーバーだということが想起できる。でも、ハッチバックのフォルクスワーゲンほど、万人に受け入れられるタイプでもない。

フォルクスワーゲンTロックR(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロックR(英国仕様)

AUTOCARの読者の中には、SUVが好みではないという人もいるかもしれない。だが大方の場合、超高速で悪天候でも負けないフォルクスワーゲンは、歓迎される存在だろう。今流行のクロスオーバーのスタイリングと、ゴルフより少し余裕のあるインテリアが手に入るのだから。

フォルクスワーゲンのSUVにRが付くのは珍しい。過去に遡ると、スポーツモデルを手掛けるフォルクスワーゲンR GmbH社が手掛けた、2008年のトゥアレグR50というモデルがあった。今となっては隠しておきたい、5.0L V10のターボディーゼルを搭載していたクルマだ。

新しいTロックRでの注目ポイントは、ゴルフRよりも多くの台数が売れる可能性が高いということ。オーナーの志向や優先順位は、変化してきている。

TロックRの場合、価格はオプションを2つも選ぶと4万ポンド(572万円)を超えてしまう。なかなか受け入れがたい部分ではある。ゴルフRの5ドアの場合、英国では3万1000ポンド(443万円)だったのだから。

AUTOCARでは以前、天気の良い南フランスで試乗をしている。今回はジメジメに濡れた英国西部のウェールズ州での評価となる。

控え目ながら明確に主張するR

RとなったTロックは、見た目のアピールも忘れていない。特にリアデュフューザーとスカート、ホイールアーチに付くフェンダートリムが追加されている点がわかりやすい。フロントバンパーも専用デザインで、デイライトが灯る。

英国仕様車では19インチのアルミホイールが標準装備となり、車高は20mm低められている。マフラーは4本出しとなり、ゴルフRとのつながりを感じさせる。快音を鳴らすアクラポビッチ製のオプションを選ぶことも可能。

フォルクスワーゲンTロックR(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロックR(英国仕様)

ルックスは、ゴルフRエステートほど鳴りを潜めているわけではないが、これ見よがしというわけでもない。特にブルーなど落ち着いたボディカラーでは。

インテリアはやや残念。アルカンターラ仕上げのシートは快適で乗り降りもしやすい。だが、腰より下に多用されている硬質なプラスティック製パーツの質感は、3万8450ポンド(549万円)という価格を正当化するには物足りない。

フォルクスワーゲンらしく、スイッチ類やインフォテインメント・システムの操作感はとてもいい。全体的に漂う質実的な雰囲気も、フォルクスワーゲンに共通するもの。

通常のTロックの場合、天井高が高くトランスミッション・トンネルが低めで、車内の居心地は高い。だが、少しRの雰囲気には合わない気もする。ステアリングホイールは適度にリムが細く、とても握りやすい。

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