【期待通りの活発な走り】ミニ・エレクトリックに初試乗 純EV 航続距離231km

公開 : 2020.02.10 10:20  更新 : 2022.10.04 11:49

ミニから登場した純EVが、ミニ・エレクトリック。航続距離は短いものの、ミニらしい元気さと、運転の楽しさを獲得しています。価格が高くなる傾向のあるEVの中で、ブランドらしい強みを発揮できるのか、北米で評価しました。

高付加価値のコンパクトといえば

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
コンパクトEVの登場が相次いでいるが、新しいモデルが追加となる。英国で製造される、ミニ・エレクトリックだ。

まだ乗り換え候補を決めかねていたり、ソーラーパネルを屋根に乗せている自動車ユーザーにとって、2020年は節目となるだろう。英国でのセカンドカーは、環境負荷の小さいモデルを選ぶ時がやって来た。

ミニ・エレクトリック(北米仕様)
ミニ・エレクトリック(北米仕様)

純EVモデルが英国市場へも次々に上陸する。フォルクスワーゲンホンダプジョー、ボクソール(オペル)などが、ゼロ・エミッションを掲げたモデルをリリースする。ルノースマート、ヒュンダイ、キアなどは、矢継ぎ早に既存モデルの刷新に動いている。

いずれのモデルも価格的に近似しており、クルマとしての位置づけも近いところにある。一気に増えた感のあるコンパクトEVだが、われわれの長期的な要求を満たしてくれるのだろうか。業界関係者だけでなく、多くの人が注視している。

そんな電動化を進める自動車メーカーが興味を示す、高付加価値を掲げたコンパクトカーとしての、確かな血統を築いたメーカーがある。価格が高めになるコンパクトEVとして、相応しいポジションを既に確立しているブランド。それがミニだ。

BMWに属するブランドで、最も有名なミニ。これまで20年にわたって、ミニ・エレクトリック以上の価格を、コンパクトカーへ支払うユーザーがいることを証明してきた。その嗜好は、新しいミニ・エレクトリックとなっても同様に受け継がれるだろう。

航続距離はWLTP値で231km

ミニ・エレクトリックの場合、環境意識や高めの価格が課題ではない。現代のEVとして使い勝手が良いのか、待ち望んでいた内容かどうか、そこにありそうだ。

ミニ・エレクトリックは、基本的には3ドアのミニ。リチウムイオン電池を搭載し、リアシートの座面が僅かに持ち上げられている以外、車内空間への影響はほとんどない。とはいっても、車内の利便性がライバルのEVより優れているとは呼べないだろう。

ミニ・エレクトリック(北米仕様)
ミニ・エレクトリック(北米仕様)

ボンネット内には、BMW i3Sと共通の電気モーターが収まる。最高出力は183psで、最大トルクは27.4kg-m。このモーターはBMWが特許を持つハイブリッド同期と呼ばれる仕様で、多くの電気モーターより優れた効率を備えている。ネオジムなど、レアアースの使用量を削減できる点もメリットだ。

同時にモーターの内部、パワーを生むローターを軽量に仕上げることで、許容する回転数も高い。その結果、より幅広い回転域で高いパワーを発揮できるという。

EVのもう1つの大切な部品、リチウムイオン・バッテリーはリアシートの下と、車両中央のトランスミッション・トンネルに相当する部分へT型状に搭載。ミニに収まる限り大きいバッテリーとのことだが、容量は28.9kWhだ。

コンパクトEVでも、欧州市場中心のルノー・ゾエやプジョーe−208などは50kWh前後のバッテリーを搭載しているから、競争力のある容量ではない。ミニの技術者によれば、世界規模での認証と安全基準を満たすため、これ以上のバッテリーの搭載は難しかったとしている。

航続距離はWLTP値で231km。多くのユーザーの日常利用をカバーできる数字だと、ミニは判断している。

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