【なぜ?】トヨタがNTTと資本提携するワケ

公開 : 2020.03.24 17:25  更新 : 2021.10.09 23:54

手始めに未来型都市「ウーブン・シティ

社会実装を進む中で、実際の町での本格的な実験も世界各地で進んでいる。

米オハイオ州のコロンバスや、中国の上海郊外、さらには日本では東京2020を前提とした東京お台場地域での大規模実験が計画されている。

、トヨタが2020年1月に米ラスベガスで発表した、未来型都市「ウーブン・シティ」のイメージ。
トヨタが2020年1月に米ラスベガスで発表した、未来型都市「ウーブン・シティ」のイメージ。

ただ、ご承知の通り、東京オリンピック・パラリンピックの延期が検討中。状況は変化する可能性がある。

そのうえで注目されるのが、トヨタが2020年1月に米ラスベガスで発表した、未来型都市「ウーブン・シティ」だ。静岡県裾野市にあるトヨタ所有の土地に巨大都市を作る。

自動運転車「eパレット」や、二人乗りの超小型モビリティ、トヨタが歩行領域EVと呼ぶ立ち乗り型移動体など。すでにトヨタが大筋での発売計画を発表している様々なモビリティが生活の中に自然に溶け込む居住空間を目指す。

ここに、NTTも参画する。

人、クルマ、モノなど、社会全体の移動を含む様々な情報をデータ化して、人中心の豊かな社会を目指すという。

2020年3月24日から実用化が始まる次世代通信5Gをフル活用することはもとより、「次の世代(6G)についても、ウーブン・シティを使った試験をしていきたい」(澤田社長)という。

豊田社長も「ソフトウエア・ファーストの時代、競争と協調がさらに大事になる」と指摘し、ウーブン・シティの意義を改めて強調した。

GAFAにどう対抗するのか? という問い

会見の中で「GAFAにどう対抗するのか?」という質問が出た。

GAFAとはグーグル、アップル、ファイスブック、アマゾンという、世界のIT巨人たちの総称だ。

トヨタとNTTがタッグを組み、周囲を優良日系企業で固めるオールジャパン体制となって、本当にGAFAに対抗できるのか?

この点について、豊田社長は「トヨタはすでに、GAFAとの連携を行っている事業もある」として、GAFA対抗というよりは、日本発の技術やサービスをGAFAを巻き込んで世界レベルで使われるよう体制作りを目指すと意欲を見せた。

また、トヨタはKDDIの株主であり、またソフトバンクとは次世代型移動サービスのベンチャー企業・MONETテクノロジーズを共同運用している。

そこに今回、NTTとの業務資本提携が加わる。

スマホユーザーとして見れば、トヨタは通信事業者に対して、八方美人に見えてしまうかもしれない。

逆の見方をすれば、日常生活の中で、データプラットフォームとなっているスマホを持つ通信業界に、トヨタが大きな横串を指したようにも見える。

「2年前(ラスベガスでのIT系見本市の)CESで、私はトヨタが自動車会社からモビリティカンパニーへのフルモデルチェンジする、と申し上げたが、今回のNTTとの業務資本提携で、その時が来たと感じている」と心境を語った。

トヨタの次の100年が、いまスタートを切った。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像