【アフリカの悪路を3日間】ランドローバー・ディフェンダー110 Sへ試乗 後編

公開 : 2020.03.29 10:20  更新 : 2022.08.08 07:49

ガソリンもディーゼルも充分に力強い

新型ランドローバーディフェンダーのボディデザインで好きな点が、機能も伴っていること。空気抵抗を示すCd値は0.38と悪くない。

ライトの周囲には小さな段差があり、汚れや砂がこびりつく可能性はある。古いディフェンダーは特にそうだった。新しいディフェンダーの場合、この環境では大丈夫そうだ。

ランドローバー・ディフェンダー110 S(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー110 S(英国仕様)

ディフェンダーのデザインがどれほど熟成されたものなのか、筆者にはわからない。少なくとも充分に新しく、先代のスタイルを安易に取り入れただけではないと思う。走行時の姿は、一見、初代フリーランダーのように感じられなくもない。

ランドローバーは、ディスカバリー4のステップアップ・モデルに選んで欲しいと考えている。だが、主要ライバルより良いのか悪いのか、新しいディフェンダーの評価は難しい。

英国で複数台を並べて評価する際でも、オフロードを走ると印象が変わることがある。少なくとも、サスペンションを最も高い位置にして走らせている限り、かなりの能力なことは間違いない。

低速域ではディーゼルはもちろん、ガソリンエンジンはそれ以上に力強い。柔らかい河川を勢い良く走破するような場面では、車重が2248kgもあるディーゼルエンジンの場合、勢いを失う可能性はありそうだ。

独立したシャシーもリジッドアクスルもないが、リアのオーバーハングは短く、フロアはフラット。フロントバンパーとスキッドプレートが、クルマで1番地面に近い部分になる。フロントがクリアできれば、クルマは引っかかることなく通過できるはず。

岩場も河川も簡単にこなしてしまう

ディフェンダーで何より印象的なのが、岩場のクローリングも、河川の横断も、すべて簡単にこなしてしまうこと。まるで普通に走っているかのように。

ジープラングラーの場合、スイッチでデフをロックし、アンチロールバーをフリーにする作業が、オフロードに挑戦することを実感させる。ラングラーも走破性は素晴らしく、筆者も好きなクルマだ。オフロード走行に趣味性を与えてくれる。

ランドローバー・ディフェンダー110 S(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー110 S(英国仕様)

ディフェンダーは、その手間をできるだけ少なくしようとしている。現在購入できるディフェンダーには、テレインレスポンス・システムが標準装備され、サスペンションやデフ、ブレーキ、トラクションコントロールなどを一括して司る。

クルマから降りたり、ボタンを操作したりする必要はない。空調の効いた快適な車内にいるだけで、通過できるように努めてくれる。牽引バーにかかっている重量や、トレーラーのテールライトの球切れも、車内から確認できる。

運転席からは見えない、ボンネット直下を映し出すカメラも採用。最大900mmの水深まで走行できるが、水量が限界に近いことを教えるセンサーも付く。仮にサイドガラスに迫る水に気づかなかった場合だが。

能力や快適性を高めるための、オプションもふんだんに用意されている。5ドアのディフェンダー110は、英国では4万5000ポンド(607万円)から。今回試乗した2.0Lディーゼルターボは6万5000ポンド(877万円)。ガソリンのP400は、8万7000ポンド(1174万円)になる。

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