【光るタイヤに24金レリーフ】リンカーン・ベース 究極のカスタムカー 前編

公開 : 2020.04.18 07:20  更新 : 2021.03.05 21:27

1960年代に姿を消してから行方不明だった、ゴールデン・サハラII。ゴージャスなボディだけでなく、内照式のタイヤが最大の特徴でしょう。技術的にもカスタムカーとしても、歴史的な大作といえる1台が復活しました。

伝説のカスタムカー・ビルダーを襲った事故

text:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)/MECUM(メカム)/GOODYEAR(グッドイヤー
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
どんな歴史でも、最初に強く輝いたものは深く記憶に刻まれる。勝利を重ねたジャッキー・スチュワートは国際モータースポーツの殿堂入りを果たしたが、英国人レーサーとして真っ先に思い浮かぶのは、比類ない速さを見せたジム・クラークだったりする。

銀幕では多くの名女優が生まれてきたが、グラマラスなマリリン・モンローに並ぶカリスマ性を持つ女性は多くない。カスタムカーの世界でいえば、今回のゴールデン・サハラIIが、同じような象徴的な地位に並ぶのではないだろうか。

ゴールデン・サハラII(1954年)
ゴールデン・サハラII(1954年)

妖艶な光を放つ、きらびやかな装飾をまとった低いボディ。強いスポットライトを集めたが、その生命は長くはなかった。しかもモンローと同様にサハラIIの始まりは、華々しいものでもなかった。

1953年、伝説的なカスタムカー・ビルダー、ジョージ・バリスは、南カリフォルニア郊外からロサンゼルスへと向かっていた。友人のダン・ランドンとサクラメントでの自動車ショーの帰りだった。

途中、深い霧で高速道路は覆われてしまう。ヒッチコック映画のように不穏な気配のなか、ランドンがドライブする1949年式のシボレーは故障し、道路中央で立ち往生してしまう。

追走していたバリスの1953年製リンカーン・カプリは減速するが、後続車が追突する。立て直し南下を続けるが、状況はさらに悪化。干し草を積んだトラックが、突然道路に侵入してきた。

破壊されたボディはカスタムのチャンス

リンカーンは避けきれず、トレーラーの下へ衝突。運転席側のルーフは、えぐられるように荷台で剥ぎ取られてしまう。

幸い、2人はダッシュボードへ顔をかがめて無事だったが、バリスは大きな怪我を追った。近くのバーまで歩き、医師を呼び、負傷した顔の手当を受けたのだった。

ゴールデン・サハラII(1954年)
ゴールデン・サハラII(1954年)

不運な事故だったが、カスタマイズ・キングはチャンスも掴んだ。軽くモディファイされたリンカーンのボディは激しく破壊されていたものの、走行距離の浅いシャシーとパワートレインは無事だった。

リンカーンとしては諦めつつ、生き残った部分で新しいカスタム計画を立案した。友人のビル・デカーと、ジム・スコンザケス、通称ジム・ストリートとともに。

作業はロサンゼルスのリンウッドにあった、バリスのワークショップで進められた。スパナを握ったのはビル・デカー。資金は地元の自動車愛好家、ジム・ストリートが工面した。

3人は大胆なモディファイに着手。カスタマイズの範疇を超え、先進的なコンセプトカーに近いクルマを生み出した。数カ月後にワークショップから姿を表したクルマは、事故に遭遇したカプリとはまったく別物の姿だった。

高くそびえるフロントフェンダーの先端に付いた、ヘッドランプ。おちょぼ口のようなフロントグリルは、大きく広げられ、両端には砲弾状の装飾が付けられた。

ルーフはプレキシガラスで覆われたTバー・スタイルで、ドアはガルウイングのように上へ跳ね上がった。長く伸びたテールには華やかなフィンがそびえ、テールライトが未来的に灯る。

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