【ベストを目指せる可能性】ルノー・メガーヌR.S.280 最終回 長期テスト

公開 : 2020.05.16 11:50  更新 : 2021.03.05 21:34

フランス産ホットハッチの代表といえる、ルノー・メガーヌR.S.。不動の王者、ゴルフGTIにどれだけ迫っているのか、長期テストで検証します。選んだのはベーシック・グレード。上位グレードとの差も気になります。

積算7417km 心地いい4気筒がサウンドトラック

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)/Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
長期テスト車のメガーヌR.S.280を借りて、英国の南海岸まで週末の小旅行へ出かけた。心地良い4気筒のノイズをサウンドトラックにして。

R.S.280は必要なら落ち着いた走りも楽しめるが、レースモードにすると活発なエグゾーストノートを響かせる。破裂音も混ぜながら。ノイズだけで笑顔にしてくれる能力は、ヒュンダイのホットハッチ、i30 Nにはない魅力だ。

ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)
ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)

積算7911km ルノー・スポールのイベントに参加

メガーヌR.S.280は、フロントタイヤの落ち着きがあまり良くない。ワイドなサイズを履いているけれど。前回サーキット走行を楽しんだ時にも触れている。残念な部分といえるが、それでも運転はしやすい。

先日、ルノー・スポール・オーナーズクラブのイベントへ、家族と一緒に参加した。イベント内容も、並んでいたクルマもとても良いものだった。

ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)
ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)

積算9960km ホットハッチとの別れは冬に

動力性能に長けた、ルノー・メガーヌR.S.280のようなホットハッチと別れを告げるなら、冬が良い。高速な前輪駆動モデルにとって、最も適さない季節といえるから。激しく消耗したフロントタイヤを履いているのなら、なおのこと。

もちろん、ヒーターの効いた車内で、温かい季節の楽しい思い出に浸ることは難しくない。長期テスト車として迎えたメガーヌR.S.280とは、今回でお別れとなる。

驚くほど快適に、心地よく通勤にも使える

新しいタイヤに組み替えて、次の定期点検までテストを続ければ、これまで以上の発見もあるだろう。だが、AUTOCARの編集部は、今回で終わりという決定をした。少し悲しいけれど。

ブランズハッチやアングルシーのサーキットを走り、英国に張り巡らされた高速道路を走り込んだ。お別れの前に。ただし、さらに長期間乗っても、現在感じている基本的な印象が強調されることはあっても、薄くなることはないと思う。

ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)
ルノー・メガーヌR.S.280(英国仕様)

ルノー・メガーヌR.S.280は、主に早朝と深夜の通勤で利用した。驚くほど快適で、心地よく運転できた。ライバルといえる、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIに十分肉薄している。角が取れ、扱いやすいクルマだ。

サスペンションを理解し、ドライビングモードの設定を掴めば、ルノー・スポール・カップよりしなやかで乗り心地も良い。サスペンションの硬いメガーヌR.S.を日常的に乗ることに、疑問を感じていたことは事実。だが運動性能も含めて、満足のゆく仕上がりだった。

カップ・シャシーを持つクルマは、サーキット走行には適している。一般道をハイスピードで走る場合でも、カップ・シャシーを超えるサスペンションを持つホットハッチは少ない。

ただし、サーキット向けのチューニングは、強くはオススメできない。そのかわり、動的性能と快適性とが折り合うポイントとして、カップ・シャシーではないルノー・メガーヌR.S.280はよく考えられていると思う。

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