【なぜ】フェラーリ/ランボルギーニ 4月の新車登録、日本で絶好調 その理由は?

公開 : 2020.05.22 05:50  更新 : 2021.10.11 09:33

今年4月。フェラーリ、ランボルギーニは、日本における新車登録が好結果に。2019年4月の台数を上回り、ランボは過去最高を記録しています。なぜ、コロナ禍のなかで、高額なスーパーカーが好成績を残すのでしょう?

ランボ 4月単月で過去最高の新車登録

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:Ferrari、Lamborghini

日本自動車輸入組合(JAIA)が発表した4月の新車登録台数の速報を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、前年同月の約3分の2まで減少してしまった。

王者メルセデス・ベンツはトップの座を保ったものの2288台が精一杯。前年比37.1%減に落ち込んでしまった。4月に2位となったBMWも悲惨で、1691台(前年比41.1%減)という目を覆うばかりの結果に終わっている。

2020年4月。コロナ禍のなかでランボルギーニ日本法人は80台の新車を登録。4月として過去最高の台数を記録した。
2020年4月。コロナ禍のなかでランボルギーニ日本法人は80台の新車を登録。4月として過去最高の台数を記録した。

こうした状況の中で、イタリアのスーパーカーを代表する2つのブランドが、前年同月を超える販売台数を記録した。

フェラーリは2019年4月と比べて26.8%増(71台)。ランボルギーニにいたっては、33.3%増(80台)を記録し、4月単月では過去最高となった。

新型コロナウイルス禍の中で、なぜ販売台数を伸ばしたのだろうか。

例えば、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンなどの量販メーカーは、販売台数を競い合うため、見込みで売れ線の仕様をストックする。

つまり、即納の体制を組んでいるのだ。そう、日本車と同じ考え方である。

いっぽうでフェラーリやランボルギーニのクラスになると、「吊るし」の状態で購入するオーナーは存在しない。

スーパーカーは注文生産?

フェラーリ、ランボルギーニといったスーパーカーを新車で買うカスタマーの間では、ビスポークで自分だけの1台に仕上げることが主流になっている。

正式注文を受けてから製作に取り掛かるため、それなりの時間が必要になってしまう。カタログ・モデルであっても、注文生産に等しい作り方なのである。

フェラーリ、ランボルギーニのカスタマーは、自分好みのパーソナライゼーションを依頼して、新車をオーダーするのが主流。もちろん多額の費用はかかるが、このクラスの顧客には大きな問題ではない。
フェラーリ、ランボルギーニのカスタマーは、自分好みのパーソナライゼーションを依頼して、新車をオーダーするのが主流。もちろん多額の費用はかかるが、このクラスの顧客には大きな問題ではない。

オーダーから納車までの時差があるフェラーリは、世界中から注文が殺到していることもあり、納期はコロナウイルス禍以前で1年半程度といわれていた。

もちろん、ややこしく手のかかるオーダーの場合はそれ以上にかかることもある。

ランボルギーニも「アド・ペルソナム」というパーソナライズ・プログラムを導入して以来、納車まで約1年前後の時間が必要になってしまう。

もうお分かりだろう。この4月に登録されたフェラーリ/ランボルギーニは、コロナ禍が発生する遙か前、さらに消費税が増税される前の2018~2019年に注文されたクルマなのである。

たまたま騒ぎの最中に上陸してしまったため、注目されることになった。

ちなみにフェラーリは、イタリアのパンデミックの影響でファクトリーが止まり、生産に遅れが出ていたものの5月4日に再開。

デリバリーに遅れも出ているようなので、フェラーリの日本における納車状況を記しておこう。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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