アルピーヌ新型『A390』正式発表 ブランド初のSUV、約1100万円から年内受注開始 欧州

公開 : 2025.05.29 06:45

アルピーヌ初となる電動SUV『A390』が発表されました。最高出力470psのトライモーターを搭載し、先進的な制御技術で「軽快感」を演出しているとのこと。スポーティでありながら実用性も重視しています。

5ドアの新型EV登場

アルピーヌは、ブランド初の電動SUV『A390』を発表した。英国では11月に受注開始予定で、価格は6万ポンド(約1170万円)程度となる見込みだ。

クーペのA110およびハッチバックのA290に続く第3のモデルラインであり、昨年パリ・モーターショーで公開されたA390ベータ・コンセプトをほぼ忠実に踏襲した、5人乗りのクーペクロスオーバーとなっている。

アルピーヌA390
アルピーヌA390    アルピーヌ

アルピーヌは、A390について「スポーツ・ファストバック」という表現を用いている。

いずれにせよ、A390は、同ブランドの製品ポートフォリオにおいて重要な役割を果たすだろう。欧州でも特に人気の高いクラスに属し、純粋なスポーツカーよりも日常的な使い勝手の良さに重点が置かれている。

全長4.6m、全高1.5m、トランク容量532Lと、テスラモデルYなどの同クラスのEVとほぼ同じサイズだ。しかし、ドライバーの運転感覚に重点を置いて設計された最高出力470psのドライブトレインを備え、高性能SUVセグメントをターゲットとしている。

プラットフォームは、ルノー・セニックおよび日産アリアと同じAmprミディアムを採用。リアに2基、フロントに1基の、特注の3モーターパワートレインを搭載し、リアバイアスの四輪駆動システムとトルクベクタリングにより、敏捷性と応答性を高めている。

アルピーヌのCEOであるフィリップ・クリーフ氏は先日、AUTOCARの取材に対して、このレイアウトにより「軽快感」を演出し、電動SUVにありがちな重量の欠点を軽減する上で役に立つと語っている。

「非常に素早いレスポンスを実現できます。軽量車のような挙動です」と、クリーフ氏は言う。

コーナリング時、内側の車輪にブレーキをかけるだけではなく、外側の車輪を過回転させることが可能だという。アルピーヌは、これにより「スムーズで繊細なコントロール感」を実現するとともに、パワースライドも容易になったとしている。

実用性を重視した設計に

A390は、標準グレードの『GT』で最高出力400ps、約7万ポンド(約1360万円)の上位グレード『GTS』では470psを発生し、最大トルク82.4kg-mを誇る。0-100km/h加速はわずか3.9秒で、これは約1トン軽いA110 Rと並ぶ加速性能だ。

より安価なモデルで、デュアルモーターレイアウトを採用したバージョンも計画中のようだが、正式にはまだ決定していない。

アルピーヌA390
アルピーヌA390    アルピーヌ

A390は89kWhのバッテリーを搭載し、欧州WLTPモードで最大550kmの航続距離を実現。最大190kWの急速充電に対応している。

インテリアは、ルノー・グループの兄弟車種に近いデザインで、ドライバーに向かって角度がつけられた縦型タッチスクリーンと、ステアリングホイールおよびセンターコンソールに配された数々の物理スイッチが特徴だ。

A290と同様、ステアリングホイールには回生ブレーキ調整用のレーシーなダイヤルと、短時間フルパワーを解放するオーバーテイクレバーを装備している。

ライバルとなるヒョンデアイオニック5 Nとは異なり、A390には疑似的なトランスミッションは搭載されていないが、A110の4気筒ガソリンエンジンからインスパイアされたという合成の「アルピーヌ・ドライブサウンド」が用意される。

アルピーヌは今後数年間で合計7車種のEVの発売を予定しており、A390はそのうちの2番目にあたる(1番目はA290)。次に登場するのは、A110の後継となるスポーツモデルで、クーペとカブリオレが販売される予定だ。その後、4ドア・ファストバックのA310が発表される。

A310の後には、ポルシェカイエンに対抗する2車種の大型Eセグメントモデルが控えており、米国市場進出の要となる予定だった。しかし、ドナルド・トランプ米大統領の自動車輸入関税の導入により、アルピーヌは米国での事業展開を凍結せざるを得なくなった。今後の見通しはまだ不明だ。

2017年に発売された現行のA110は、来年に販売終了予定である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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