【スーパーカー黄金時代】デ・トマソ・パンテーラ、ポルシェ959、フェラーリ288GTO 後編

公開 : 2020.09.26 16:50  更新 : 2021.08.05 08:08

ロータス・エスプリ・ターボ

スーパーカーの影響は、ホットハッチやスポーツサルーンとして、大衆車にも落ちてきた。実用性も備えた手頃なジュニア・スーパーカーが、魅力はそのままに、より現実的な選択肢として登場した。

マセラティ・メラクやランボルギーニ・ジャルパ、フェラーリ308アルピーヌGTA V6など。その中でロータス・エスプリは、特に輝く存在だったといえる。

ロータス・エスプリ・ターボ
ロータス・エスプリ・ターボ

ジウジアーロによるスタイリングで、1976年に誕生したエスプリ。ウェッジシェイプのボディはグラスファイバー製で、スチール製のバックボーン・シャシーが支えている。

ミドシップされるエンジンは、当初は1973ccの4気筒。車重は900kgと軽く、優れた操縦性を得ていたが、162psの最高出力は少年には物足りない数字だった。

1980年に登場した限定仕様のエセックス・ターボには、ドライサンプの910エンジンを搭載。ギャレット製のT3ターボで過給する。最高出力は213psに引き上げられ、0-97km/h加速6.1秒、最高速度240km/hを実現した。

ジウジアーロがデザインしたボディキットも、目を引くポイント。間もなく量産モデルへと展開し、ジュニア・スーパーカーとしてのイメージを確立していく。

1980年代末には、ピーター・スティーブンスの手による新しいスタイリングへ変更。ソフトなラインを採用し、初期のデザインが現代的に再解釈されている。同時に、シャシー剛性も高められた。

1989年になると、2174ccの4気筒エンジンはマルチポイント・インジェクションを獲得。インタークーラーも追加され、267psにパワーアップ。最高速度255km/hと、0-97km/h加速5.0秒を切る、スーパーカーに並ぶ性能を獲得した。

フェラーリ288GTO

規制の緩いグループBは、ポルシェを高ぶらせたように、フェラーリにも火を付けた。伝説の250GTO以来となる、グランツーリスモ・オモロガート、GTOの名が復活したのだ。

同じ1984年生まれのテスタロッサと違い、288GTOはサーキット走行が前提。マラネロのラインナップへ、モータースポーツ直結のクルマが加わった。

フェラーリ288GTO
フェラーリ288GTO

ベースはフェラーリ308だったものの、288GTOの生産開始と入れ替わるように、308の販売は終了。308と288GTOとの類似点より、相違点の方がはるかに多い。

ボディの基本的なデザインは似ているが、その内側にあるのはホイールベースが110mm伸ばされたスチール製のチューブラー・フレームシャシー。軽量なケブラーやコンポジット材が多用されている。

オールアルミのエンジンブロックも308譲りながら、288GTOでは大幅にパワーアップ。横置きだったレイアウトは縦置きとなり、エンジンの後ろにトランスアクスル・レイアウトでトランスミッションが載る。

クワッドカムのV8エンジンは、ピストンのストロークが1mm短くされ、排気量は2967ccから2855ccへとわずかに減少。この排気量は、FIAのターボ係数1.4を掛けると、グループBの4000cc以下のカテゴリーに適合できる大きさだった。

電子制御フューエル・インジェクションと、IHI製のターボを組み合わせ、最高出力は405psを獲得。車重は1100kgをわずかに超える程度と、ライバルより軽量だった。

288GTOは0-97km/h加速4.9秒、最高速度304km/hをマーク。直系の子孫となる、F40に肉薄する性能を備えていた。

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