【じっくり見たい】マクラーレン・スピードテール日本上陸 2.4億円 3人乗り/最高速403km/h 最新技術/内装を解説

公開 : 2020.09.14 20:25  更新 : 2021.10.11 09:35

「マクラーレン・スピードテール」が日本発表されました。邦貨で約2.4億円(すでに完売)の3座ハイブリッドGTです。最高速度はマクラーレンF1超え。デザイン、内装、ディテールまでたっぷり撮影しました。

マクラーレン初のハイパーGT

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

マクラーレンのアルティメット・シリーズの新たな方向性を示すハイパーGT「スピードテール」。コロナ禍で止まっていたラインが7月から復旧し、ようやく日本に上陸しお披露目された。

アルティメット・シリーズとは、同社ラインナップの頂点に位置する系列だ。

アルティメット・シリーズの最新モデル、マクラーレン・スピードテール。
アルティメット・シリーズの最新モデル、マクラーレン・スピードテール。    上野和秀

極限に迫るパフォーマンスを現実にした「P1」と、サーキットでの運動性能を突きつめた「セナ」に続くのがこのモデルで、これまでとは違う方向性で“究極”を目指している。

「スピードテール」は、最上級のラグジュアリーとパフォーマンスを融合させたハイパーGTとして送り出された。

最大の特徴は、徹底的にエアロダイナミクスを磨き上げ、1070psを発揮するハイブリッド・パワーを搭載しながら、ドライバーが中央に座る3座レイアウトを採用したこと。

最高速度は、伝説のマクラーレンF1ロードカーの391km/hを上回る同社の市販車史上最速となる403km/h。0-300km/h加速は、12.8秒という圧倒的なパフォーマンスを備える。

また、「スピードテール」を印象付けるのが、他のどのモデルとも似ていないスタイリングで、現代のスーパースポーツでは見られない柔らかで伸びやかなラインでまとめられている。

往年のストリームライナーやル・マン・カーを思わせる長いリアエンドにより、空気を切り裂くのではなく、滑らかに潜り抜けてゆくことが分かる。

ちなみに全長は5137mmで、セナに比べ393mmも長い。

突き詰めたエアロダイナミクス

スピードテール最大のテーマとなったのが徹底したエアロダイナミクスで、ドラッグを抑え、最高速度を最大化すること。

すべてのラインやカーブは、ドラッグを軽減すべく緻密に造形が突き詰められている。実際にクルマを上から見ると、自然界で最速の形状であるティアドロップ型とされているのがよく分かった。

上から見るとティアドロップ型となるマクラーレン・スピードテール。
上から見るとティアドロップ型となるマクラーレン・スピードテール。    上野和秀

ノーズのインテークからリアエンドまで子細な空力処理が施されているが、注目したいのがフロント・ホイールを覆うスタティック・エアロカバー。

ホイールが回転することにより発生する乱流を整え、ボディサイドに沿ってリアに流す効果がある。なお、後輪では効果が薄いため付けられていない。

次なる新機構は、リアカウル後端に備わる「アクティブ・エア・エルロン」だ。これまでのスポイラーを廃し、その代わりにカーボンファイバー製のフレキシブル・カウルが組み込まれ、ドラッグを大きく低減。

ダウンフォースが必要な場面では、ボディがせり上がり走行安定性を高め、エアブレーキとしても機能する。

ドアミラーが消えたのもスピードテールのニュースで、2台のHDカメラを用いたデジタル・リアビュー・カメラを採用。カメラからの映像は、インストゥルメントパネル両端のモニターに表示される。

カメラはドアに組み込まれているが、最高速度に挑む際に各部を最適化する「ベロシティ・モード」設定時には、格納され空気抵抗を低減させる。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事