【ベルガー所有】フェラーリF40、オークションに出品 予想落札額は1.2億円オーバー F1ファンも歓喜?

公開 : 2020.10.27 06:50  更新 : 2021.10.11 09:37

スクーデリア・フェラーリで活躍したゲルハルト・ベルガー所有の「フェラーリF40」が、オンライン・オークションに出品。素晴らしいコンディションに加え、ベルガー所有のヒストリーが付くだけに、高額落札が予想されます。

ゲルハルト・ベルガーを知っているか

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:RM Sotheby’s

フェラーリを始めマクラーレン、べネトンといったトップチームでF1を闘ったゲルハルト・ベルガーが所有していたフェラーリF40オークションに出品される。

ベルガーはスクーデリア・フェラーリに1987年から1989年まで在籍し、1987年に鈴鹿で開かれた日本GPで初のポール・トゥウ・インを果たし、日本のファンにもおなじみだ。

RMサザビーズ・ロンドン・オークションに出品されるフェラーリF40(シャシーナンバー84643)。
RMサザビーズ・ロンドン・オークションに出品されるフェラーリF40(シャシーナンバー84643)。    RM Sotheby’s

この勝利は、低迷していたフェラーリにとって1985年ドイツGP以来となるものだった。

翌1988年になるとエンツォ・フェラーリが逝去する。その直後に行われたイタリアGPで優勝を果たしたのもベルガーだった。

僚友ミケーレ・アルボレートと共に1-2フィニッシュを遂げ、亡きエンツォに勝利を捧げたことは伝説となっている。

この年はマクラーレン・ホンダが圧倒的な強さを見せ、優勝できなかったのはイタリアGPだけで、フェラーリの勝利は神(エンツォ)がかりといわれた。

このようにファンの記憶に残る勝利を遂げたベルガーは、気さくで悪戯好きな性格から日本のファンからも愛されている。

ベルガー所有のF40とは

1987年にフェラーリ入りしたベルガーはF40の開発にもかかわり、今や伝説となった「雨の日には絶対乗りたくない」という名言を残している。

ベルガーは現役当時にフェラーリ社からF40を貸与されていたはずだが、今回出品されたのは2019年に手に入れた別の個体となる。

そのオーナーは、日本でもファンが多い元F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガー。
そのオーナーは、日本でもファンが多い元F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガー。    RM Sotheby’s

シャシーナンバー84643のF40は1990年3月に完成し、シンガポールの高級車ディーラーとして知られるホンセ・モータースからMr.リービーに販売された。

1993年2月に日本のフェラリスティがセカンド・オーナーとなり2014年まで所有していた。

その後ヨーロッパのブローカーが入手し、2015年と2017年のレトロモビルに展示され、2017年にサード・オーナーとなるドイツの愛好家のもとへ移る。

正規ディーラーで徹底整備

サード・オーナーは購入後すぐにハンブルクにある正規ディーラーで、エンジンを降ろす重整備と、サスペンションのリセッティング、ブレーキ・ローターとキャリパーを新品にするリフレッシングを行う。

ちなみにこれらの費用は8万ユーロ(約992万円)にも及ぶ。

3番目のオーナーが邦貨で1000万円近い重整備を正規ディーラーで行った。そのオリジナル度は極めて高い。
3番目のオーナーが邦貨で1000万円近い重整備を正規ディーラーで行った。そのオリジナル度は極めて高い。    RM Sotheby’s

こうして極めて高いオリジナル度を保ったF40は、ベルガーの目に留まり2019年5月に購入したという。

住いのあるオーストリアで登録し、F40の走りを楽しんだに違いない。2019年12月にはフェラーリ・クラシケの認定も取得している。

現時点では非調整式のダンパー/スプリング・ユニットと、直管でキャタなしのルマン・クイックシルバー製のスポーツ・エグソーストがノンオリシナルとなる。

しかし、ボルトオンで戻せる部分なので大きなウィークポイントにはならない。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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