【クラウン生産終了!?】トヨタ・クラウン、そんなに売れていない? 過去モデル販売比較 「失敗作」と言えぬワケ

公開 : 2020.11.17 05:50  更新 : 2021.10.09 23:42

年間販売 最も少なかったモデルは

では、現行のクラウンの売れ行きは、過去最悪であろうかというと、意外や、そうではないともいえる。

実は、クラウンは過去に何度も年間販売台数3万台以下という残念な数字を残しているのだ。

トヨタ・クラウン(13代目)
トヨタ・クラウン(13代目)    トヨタ

それが先々代13代目の2011年の2万9927台、2012年の2万9963台、そして先代14代目の2017年の2万9085台。

つまり、先々代から常にモデルライフ終盤になると、年間で3万台以下にまで販売台数が下がってしまっていたのだ。

ちなみに、過去30年で最も売れていないのが先々代=13代モデルで、発売翌年と3年目が約4万台、4年目と5年目は約2万9000台という成績。

現行モデルは、デビュー年が約5万台、2年目で約3万6000台、そしてコロナの本年では、間違いなく3万台を切るだろう。

そういう意味では、過去最悪になる可能性は非常に高い。

そして、過去30年を振り返れば、クラウンというモデルは、年間の販売台数を15万台から3万台以下にまで落としてしまったのだ。

現行クラウンは「失敗作」なのか?

2018年に登場した現行モデルは、「革新と挑戦」を謳い、ユーザーの若返りを狙っていた。

それも当然のこと。オーナーの平均年齢は、世代を重ねるごとに、どんどんと高まっており、現行モデル登場の直前は、70歳を超えていたという。いくらなんでも高齢すぎる。

2018年に登場した現行クラウンのセンターコンソール上スクリーン。
2018年に登場した現行クラウンのセンターコンソール上スクリーン。    トヨタ

若返りを狙って「初代コネクテッドカー」とまで名乗った。70歳を超える人に、コネクテッドといっても心を寄せられるはずがない。新たな若いユーザーを目指したというわけだ。

しかし、デビューしてから、これまでの2年で販売台数を挽回することに失敗。それが、今回の「生産終了」報道につながったのだろう。

だが、報道された内容は2つの側面がある。

1つは「古き良きセダンのクラウンが終わる。残念無念」というもの。

そして、「人気の車形になって名前を残し、未来のヒット車を目指す」という、もう1つのポジティブな見方もある。

実は、セダンからSUVになって大成功を納めたモデルが存在する。

セダン→SUV 方向転換で大成功

セダンからSUVになって大成功を納めたモデル、それがキャデラックだ。

かつてはラグジュアリーセダンの象徴的存在であったキャデラックだが、1990年代になると人気に陰りが見え始める。

キャデラック・エスカレード(2020年型)
キャデラック・エスカレード(2020年型)    キャデラック

そこで登場したのがSUV版キャデラックとなるエスカレードだった。エスカレードはゴージャスなクルマとして大人気になり、キャデラックの名声を取り戻すことに成功している。

トヨタほどビジネスが上手で、しかも抜け目ないメーカーであれば、クラウンという歴史ある名前を簡単に手放すとは考えづらい。

本気で、SUVとしてクラウンをヒット車に復活させることを考えているはずだ。

セダンという慣れ親しんだものが消えてしまうのは悲しいけれど、しかし一方で、新しくなるのが挑戦である。

そしてクラウンは、挑戦するクルマでもある。2022年に登場する「SUVに似た車形」のクラウンに期待しよう。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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