【楽しめるグランドツアラー】BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペに試乗 最新G22型

公開 : 2020.11.28 10:20

運転を楽しめる快適なグランドツアラー

フロントタイヤのグリップ状態が、ステアリングホイールを握る手のひらへ鮮明に伝わってくる。横方向の姿勢制御にも優れ、スピーディでフラットにコーナーを抜けていく。たとえ濡れた路面でも、フロントのグリップが不足することはなさそうだ。

トラクション・コントロールの効きを抑え、タイトコーナーの中程でアクセルを踏み込めば、漸進的な挙動でリアタイヤを外に流すことができる。コントロールもしやすい。

BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)

高めの速度域でのドライビング体験は、非常に爽快。しかし、常にその必要がないことも、クルマがそっと伝えてくれる。その理由は、エンジンの性格。

ハーフスロットル時のターボラグは最小限で、レスポンスに優れ、必要なときに充分なパンチ力を与えてくれる。中回転域のトルクも太く、安楽に求めるスピードを引き出せる。

一方で、エンジンやエグゾーストのサウンドはややザラついた印象で、高回転域では少し息苦しそうにも聞こえてしまう。高回転域まで回したいとも、超高速域で疾走したいとも、強くは感じさせない。

少しリラックスして、4シリーズ・クーペの俊敏性と応答性を味わう走り方の方が気持ちイイ。動的性能に余裕を残した範囲で。

滑らかで一体感のあるドライビング・マナーは、420iを検討する上でのストリングポイントになる。チャレンジングな道での楽しさも兼ね備えた、快適なグランドツアラー的な性格が、筆者はとても好きだ。

燃費を考えればディーゼルも悪くない

運転姿勢やインテリアデザイン、人間工学的な要素が正しく理解されている点も評価したい。一方でこれらは、3シリーズも実現している要素。4ドアサルーンだけでなく、ステーションワゴンなら高い実用性も手に入る。

BMW 4シリーズ・クーペのようなクルマの場合、購入動機の大きな要素となるのは、スタイリングの美しさにあると思う。現時点でG22型の容姿が、どの程度多くの人の心を掴めるのかはわからない。時間が過ぎれば、印象は変化するかもしれない。

BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)

筆者の場合、420iのエンジンを選択したいとは、強くは感じなかった。もし燃費効率を狙いたいのなら、英国なら4気筒ディーゼルという選択が悪くないだろう。

今回、様々な条件で長距離を試乗した420i Mスポーツ・クーペの平均燃費は、13.5km/Lだった。悪い数字ではないが、420dなら簡単に超えられる。また英国では、430dやM440dといった6気筒ディーゼルも来年に控えている。

BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)のスペック

価格:3万9870ポンド(538万円)
全長:4768mm
全幅:1852mm
全高:1383mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:14.9-15.6km/L
CO2排出量:146-153g/km
乾燥重量:1525kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:184ps/5000-6500rpm
最大トルク:30.4kg-m/1350-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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