【2020年のドライバー・ベストを決める】32回目の英国ベスト・ドライバーズカー選手権 決勝9台を一気に評価 BBDC 2020(4)

公開 : 2021.01.04 05:45  更新 : 2021.05.18 16:14

一番運転が楽しいクルマを決める、英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)。ポルシェ911ターボSやランボルギーニ・ウラカンの評価は?お手頃ドライバーズカーの勝者、GRヤリスがどこまで善戦するのかも注目です。

濡れた難関サーキットと一般道で一気乗り

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)/Max Edleston(マックス・エドレストン)/Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
AUTOCAR恒例の英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)は、今回で32回目。年々選出の難しさが増しているが、今年はいつもに増して難しいものだった。

カースル・クーム・サーキットの起伏に富んだ路面は、英国のサーキットでも特に難関なコースだ。ドライ・コンディションでも。路面が濡れていたら、自宅に帰ってプレイステーションでもしていた方が良い。

英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)のノミネート車両
英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)のノミネート車両

今年の路面は、部分的に濡れていて、ベストラインの一部は乾きつつある。一部には水たまりも残っている。かなり手強そうだ。

しかも時間も限られていた。クルマの消毒に時間を割かれ、充分な習熟走行もできなかった。運転席に座ってすぐに馴染める親しみやすさも、点数を稼ぐには大切な要素になる。

カースル・クーム・サーキット周辺の変化に富んだ道は、走りやすい。そのかわり、クルマの弱点をあぶり出すには絶好の環境でもある。

今年のノミネート車両は、どれも実力派揃い。毎年、選考車両の選出には気を使うが、疑問が残らないわけではない。でも今年は、全車両が選考対象として相応しい。

ノミネートした9台を順に見ていこう。まずはお手頃ドライバーズカーに選ばれた、トヨタGRヤリス。価格という縛りの中ではトップの座を射止めたが、より強力で高価なライバルと、どのような戦いを見せるのだろうか。

「充分なトラクションとスタビリティ、素直な操縦性、コンパクトなボディを併せ持っていて、滑りやすい路面でも果敢に走れますね」。GRヤリスから降りてきたマット・ソーンダースが、口火を切る。

エネルギー源に関係なく、ちゃんとポルシェ

カースル・クーム・サーキットでの走りを確かめるため、彼は積極的に濡れた場所を選んで走ったという。「素晴らしい。ほかのクルマと違って、5周も走れば充分に良さを理解できました」

この不安定な路面コンディションは、おそらくGRヤリスに有利に働いている。乾いた路面なら、そこまで印象深いものにならかったかもしれない。でも、見事な走りは楽しめただろう。

ポルシェ・タイカン・ターボS(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン・ターボS(欧州仕様)

次はポルシェ・タイカン。車重2300kgもある4ドアEVの走りにも、期待がかかる。バッテリーが切れるまでに、どんな印象を残してくれるのだろうか。

「エネルギー源に関係なく、ちゃんとポルシェです。操作系の重み付けや、入力に対する反応も。加速力とトラクションは驚くほど。モーターの出力も細かく調整できるので、滑りやすい路面でもグリップを失いません」。と評するのは、ジェームス・ディスデイル。

巨体のタイカンが、濡れた路面やサーキットという条件にとらわれず、暴れることなく突き進む姿には感心させられた。「サーキットで加速から減速に移った瞬間、少し違和感を感じます」。と付け加えるのは、マット・プライヤー。

サイモン・デイビスがまとめる。「速さと機敏な身のこなしはお見事。でも、それを可能としている膨大なテクノロジーを抜きに考えると、走りの興奮はさほど高くありません」

もう1台のポルシェは、911ターボS。雨がちの天気には、向いていないクルマだ。だが実際は、四輪駆動で甚大なトルクを路面に伝達する能力とリアタイヤ寄りのトラクションで、ライバルを脅かす走りを披露した。

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