【最低地上高も抜かりない】メルセデス・ベンツGLA新型 ディーゼル四駆、200 d 4マティックを評価 欧州小型SUVの正統派

公開 : 2020.12.18 05:45  更新 : 2021.12.04 02:19

メルセデス・ベンツの「新型GLA」を、たっぷりテストしてきました。実は従来型よりも、オフロード適性を高めています。ライバルの多いコンパクトSUV。その評価は?

どんなクルマ? 悪路走破性は注目

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

本国発表ではGLBクラスから5か月遅れでGLAクラスが登場するが、日本では先の6月に両モデル同時発売となった。

興味深いのは導入仕様である。

メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティック(AMGライン装着車)
メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティック(AMGライン装着車)    前田恵介

GLBクラスの日本仕様はFF+ディーゼル車と、4WD+ガソリン・ターボ車の構成。だが、GLAクラスは4WDのディーゼル車のみの設定(AMGを除く)。

両モデルとも欧州に比べて随分と導入仕様を絞り込み、ディーゼル+4WDなら「GLA 200 d」という具合にパワートレイン、駆動方式、キャビンの3要素のうち2つの組み合わせで半ば自動的に車種が決定してしまう。

今後導入仕様が増える可能性もあるが、GLA&GLBクラスが補完し合うような構成である。

もう1つベンツGLAクラスを4WD車のみとした理由を深読みするなら、先代(初代)から向上したオフロード適性がある。

先代の最低地上高は150mmだったが、新型はGLBクラスと同じ202mm(同社測定値)。オンロードスポーツ志向のAMGライン装着車でも179mmを確保し、雰囲気のSUVだった先代に対して使えるSUVに方針展開したと考えていい。

4WD車の普及事情の違いか、日本ではあまり大きく採り上げていないが、欧州の同車サイトではオフロードを走りの特徴としてアピール。

キャビンユーティリティも含めて、実践力のあるコンパクトSUVなのだ。

どんな感じ? 内装は?

Bクラスから発展したSUVがGLBクラス”なら、GLAクラスはAクラスから発展となって然るべき。

確かに車種構成上はそうなのだが、GLAクラスもBクラスから発展したように思えてならない。その理由はキャビン設計である。

メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティックの前席内装(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ装着車)
メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティックの前席内装(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ装着車)    前田恵介

Aクラスはルーフ低く標準的ウインドウ、Bクラスはルーフ高く6ライトウインドウ。

新型GLAクラスは、サイドウインドウ上下開口幅は両モデルの中間で、6ライトウインドウを採用。見た目の印象はBクラスに近い。

乗り込んで見てもその印象は変わらない。

天井の圧迫感が少なく見晴らしのいいウインドウグラフィックを採用しているため、Aクラスより開放感が向上。

とくに後席でその違いは大きい。

後席/荷室の実用性

リアシートはヘッドルームやニークリアランスも多少ながら拡大され、Bクラスに近い居心地を実現している。

実際はGLBクラスがさらに高いキャビンユーティリティを求めて開発されたが、このクルマがGLBクラスと銘打っても可笑しくないくらいだ。

メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティックの後席内装(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ装着車)
メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティックの後席内装(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ装着車)    前田恵介

荷室容量はAクラスよりも一回り大きく、Bクラスと同等。

40:20:40の3分割シングルフォールディングの後席収納は共通しているが、GLAは後席にもスライド機構が備わり、居住スペースをちょっと詰めて後席使用時の荷室の按配を付けられるのも長所。

ハンズフリーのパワーテールゲートも標準装備して、タウン&ファミリー用途の使い勝手に前向き。

SUVではあるが、汎用的上級コンパクトと同等以上の実用性を備えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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