【価格帯ベストの純EV】テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス 287psで408km

公開 : 2021.01.04 19:05  更新 : 2021.05.18 16:14

純EVを牽引するモデルの1つ、テスラ・モデル3がマイナーチェンジ。デザイン変更が施され、エアコン用ヒートポンプを採用し、ライバルモデルとの差をさらに広げています。エントリーグレードの3を、英国編集部が評価しました。

欧州でも販売好調なモデル3が小変更

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
テスラ・モデル3が英国へ上陸したのは、2019年の夏だった。その姿を目の当たりにした時、ガソリンエンジンを搭載した従来の自動車が、突然古く見えたものだ。鼻先が持ち上がったようなフロント周りのデザインには、少し違和感があったけれど。

純EVを複数展開するテスラの中では、最も手頃な価格のモデル3。登場から間もないのに、ロンドンではありふれた存在になっている。純EVとして先陣を切っていたハッチバックの日産リーフより、高価格帯なのにも関わらず。

テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス(英国仕様)
テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス(英国仕様)

欧州ではテスラというブランド力は強く、モデルとしての実力も高い。実際、欧州では純EVの月間販売台数のトップに、モデル3が入ることも珍しくない。競争に対抗できているライバルは、ルノー・ゾエくらいだ。

フォルクスワーゲンからはハッチバックのI.D.3の販売が始まり、欧州での期待も高い。だがスペックを比べてみると、モデル3を超えている部分はほとんどない。発売当初の目新しさが薄れた時、どの程度の支持を維持できているのだろう。

モデル3の強みをさらに伸ばすべく、テスラはモデル中期のマイナーチェンジを施した。ただし、一般的な自動車が発表4年後くらいに受けるマイナーチェンジと比べると、内容は控えめ。リフレッシュ、といった程度に留まる。

エネルギー効率を高めるヒートポンプを採用

モデル3には、従来どおり3つのバリエーションが存在する。今回試乗したのは、一番手に届きやすいエントリーグレードで、後輪駆動のスタンダードレンジと呼ばれるクルマ。フル充電での航続距離は408kmになる。

このほかに、ロングレンジとパフォーマンスというグレードが存在し、どちらも2基の電気モーターを搭載した四輪駆動となる。バッテリーの容量も増え、航続距離は563kmに伸びる。

テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス(英国仕様)
テスラ・モデル3 スタンダードレンジ・プラス(英国仕様)

搭載するモーターが1基でも、モデル3の動力性能はかなり高い。スタンダードレンジでも287psあり、0-100km/h加速は5.3秒でこなす。電気モーターの特性上、運転してみると数字以上に速く感じる。

マイナーチェンジで加えられた一番大きな変化は、SUVのモデルYから流用されたヒートポンプ。クルマとしては少し面白みに欠けるアップグレードながら、純EVでは重要なエネルギー効率を高めてくれる。

バッテリーを大きくせずに、クラスをリードする航続距離を天候に関係なく達成しやすくなる。寒い冬場では、ドライバーにとっても優しい。

新しいヒートポンプの搭載により、フロントの荷室「フランク」が少し狭くなっている。タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sが純正で装着されるようになった。低い転がり抵抗が自慢のトレッドパターンではない。

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