【走り出し、すぐ体感】スズキ 新型ソリオ/バンディット試乗 どこが変わった? 荷室/内装/マイルドHVを評価

公開 : 2020.12.26 17:45  更新 : 2021.12.27 23:50

新型ソリオに試乗。大きくなっても、まだ全長3.8m。荷室が100mm長くなったのは、ひと目で分かります。マイルドハイブリッドの車両で、さっそく街に出てみましょう。

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

FMCでリア・オーバーハングを延長したが、それでも全長は3.8m弱でしかない。

スモール2BOX車で標準的なサイズのヤリスよりも150mm短いのだ。対して全高は1745mm。これは1BOX型のノアよりも80mm低いだけ。

スズキ・ソリオ・バンディット・ハイブリッドMV(スピーディーブルーメタリック ブラック2トーンルーフ)
スズキソリオ・バンディット・ハイブリッドMV(スピーディーブルーメタリック ブラック2トーンルーフ)    池之平昌信

ちなみにカタログ室内高は1365mmであり、対ノアの35mm減でしかない。小さな平面寸法で最大限のキャビンを狙ったパッケージングだ。

このスペースを活かしたキャビンユーティリティが、ソリオの最大のセールスポイント。

ゆとりの室内高を活かした高い座面高設定でレッグスペースを稼ぐのはセオリーだが、1BOX型に比べると床面地上高は低く、座面地上高も乗降時の足着き性を考慮した設計。

そのため、一般的な乗用車に比べると不自然なほどヘッドクリアランスが大きい。

スーパーハイト系の軽乗用も同様だが、高い天井と上方が開けた見晴らしはサイズ以上の開放感と前後席の空間共有感を高める。広いだけではなく和める居心地をもたらしてくれるのだ。

実用面の新型の見所の1つが荷室長の拡大。

広くなった荷室を確認

荷室長は、従来車に対して100mm延長され、後席スライドを最後位置にセットしても奥行き550mmを確保。

後席使用荷室最大では715mm、後席収納時は1390mmにもなる。

荷室長が100mm伸びたので、リアシートがスライドの最後位置でも荷物を積みやすい(左側はスライドが最前位置)。荷室/シートのアレンジも撮影してきたので参照されたい。
荷室長が100mm伸びたので、リアシートがスライドの最後位置でも荷物を積みやすい(左側はスライドが最前位置)。荷室/シートのアレンジも撮影してきたので参照されたい。    池之平昌信

後席最前位置セットでも男性の4名乗車に十分なニースペースを備えている。また、後席のスライド/リクライニングおよび収納は左右独立型となっている。

助手席下の着脱型ボックスや豊富な小物収納など、軽乗用開発で培ってきた実用性向上のノウハウを遺憾なく発揮。

気軽なタウンカーでありながら、このキャビンユーティリティによりクラスを超えたファミリー&レジャー用途適性を実現している。

自然吸気1.2L+MHV どんな感じ?

HV仕様は、先代ではAMTと組み合わせたパラレル式ハイブリッド車も設定されていたが、新型ではNA 1.2L 4気筒/CVT、ISG(スタータージェネレーター)を用いたマイルドハイブリッドのみの設定となった。

専用のハイブリッド用のリチウムイオン電池には単セル電圧2.4Vの東芝SCiBを採用し、5セル12Vとすることでコンバーターなしで補機類用バッテリーへの給電を行える。

広大なリアシートの乗員のための最新装備が、ソリオのMZ、バンディットのMVに装備されるスリムサーキュレーター。前後席間の空調の利き具合・気温差を解消する。
広大なリアシートの乗員のための最新装備が、ソリオのMZ、バンディットのMVに装備されるスリムサーキュレーター。前後席間の空調の利き具合・気温差を解消する。    池之平昌信

ハイブリッドバッテリーの充電はエンブレ時の回生が基本。モーター出力(ISG)も2.3kWでしかなく、コストアップを最小限に抑えたシンプルな構成だが、電動の使い方が絶妙だ。

巡航からの緩やかな踏み込みの初期に電動アシストを効かせてダウンシフトを抑制。ダウンシフトを伴う加速でも初期加速をアシスト。

パワーアシストはごく短時間であり、電動の駆動力を実感できるほどでもないが、低負荷領域での加速応答のよさがアクセル踏み込み量を減らす。

低い回転数と少ない踏み込み量で加速すれば、余力感はスペック以上だ。

回生頻度も少なくモーターアシストも期待できない高速巡航では排気量相応の余力だが、ダウンシフト量を抑えた早めの変速制御もあって、NA 1.2Lにしては非力感は少ない。

長距離用途向けとは言わないが、ちょっとした遠出に十分な動力性能である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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