【フロントフェイス大幅刷新!】開発者とデザイナーに聞く、スズキ・ソリオ&ソリオバンディットで伸ばした長所

公開 : 2025.09.16 11:45

スズキ『ソリオ』と『ソリオバンディット』はマイナーチェンジに伴い、フロントフェイスを大幅に変更するとともに、パワートレイン系も刷新しました。内田俊一が、開発責任者とデザイナーにその目的や苦労を聞きました。

デザイン以外でこだわったこと

スズキソリオ』と『ソリオバンディット』はマイナーチェンジに伴い、フロントフェイスを大幅に変更するとともに、パワートレイン系も刷新している。開発責任者とデザイナーにその目的や苦労を聞いた。

まず、開発責任者の飯田茂さんによると、デザイン以外でこだわったことに安全性と快適性があり、「ソリオの長所を伸ばすのが目的」だったそう。

今年の1月にマイナーチェンジを受けたスズキ・ソリオ(右)とソリオバンディット(左)。
今年の1月にマイナーチェンジを受けたスズキ・ソリオ(右)とソリオバンディット(左)。    内田俊一

安全性では、『デュアルセンサーブレーキサポートII』(ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、検知対象を車両や歩行者、自転車、自動二輪車とし、交差点での検知にも対応した衝突被害軽減ブレーキ)を採用したほか、ブラインドスポットモニターや電動パーキングブレーキ(EPB)も搭載。

飯田さんは、「ユーザーの年齢層が高めであったり、運転に不慣れな方もいらっしゃったりしますので、こういった運転支援や快適装備はかなり充実させました」と語る。

エンジンマウントに一家言

また、スイフトに搭載されているZ12E型エンジンとCVTを搭載。4気筒から3気筒に変わったことで、NVH関連にも新たに手が入った。もともと飯田さんは13年程エンジン設計でマウントなどの開発に携わっていたことから、一家言持っている。

「気筒数が変わったことで音、振動の入力側がかなり大きくなりました。そこを感じさせないように、制振、防振、遮音は関係各所と擦り合わせ、3気筒だとわからないようなクルマに仕上げています」

開発責任者を務める、スズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部チーフエンジニアの飯田茂さん。
開発責任者を務める、スズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部チーフエンジニアの飯田茂さん。    内田俊一

また、今回EPBが追加され車重が重くなったこともあり、「ショックアブソーバーとコイルスプリングなどバネ下のチューニングをしています」。同時に、「構造用減衰接着剤などをプラットフォームや各ドアの開口部などに使うことで剛性が高まり、より足がしっかりと動くようにしています」と乗り心地向上策を語った。

迫力や高級感、カスタム感が弱い

フロントフェイス大幅刷新の理由について四輪デザイン部の石川猛さんによると、市場から「迫力や高級感、カスタム感が弱い」という声があったという。そこで「ミニバンの王道に則って開発を進めた」そう。

まず、ソリオバンディットは「少し物足りないぐらい(の迫力)だと多分ダメ」という意気込みのもと、インパクトを重要視してデザインした。

ソリオバンディットの採用案スケッチ。インパクトを最重要視してデザインされた。
ソリオバンディットの採用案スケッチ。インパクトを最重要視してデザインされた。    スズキ提供

具体的には「上下2分割されたような立体構成のフロントグリルから、薄目で見れば下まで突き抜けたような大きな立体」にして迫力を追求。高級感については「メッキやツヤ黒、材着の黒樹脂という3つの見え方の違う素材を使うことで、そのコントラストで表情豊かに見せられないか」とこだわった。

「光があたることでいろいろな表情が見えてきます。つまり遠くから見るとド迫力、近づいていくと大味ではなく、意外と細かい仕上がりになっているんです」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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