【100kg軽くハンドリングは上】トヨタGRスープラ 2.0(SZ) 稀有な本格スポーツカー 前編

公開 : 2021.01.29 10:25  更新 : 2021.03.05 18:45

直列4気筒を載せ、やや手頃な価格設定が与えられたGRスープラ 2.0(SZ)。直列6気筒との違いはどの程度なのか、英国編集部が評価しました。

この価格帯では珍しい本格的スポーツカー

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トヨタGRスープラのエントリーグレードとなる、2.0Lエンジン版が英国にも導入された。3.0Lモデルより、手頃な価格が付けられている。日本では当初から売られていたのだが、英国への上陸は今まで果たされていなかった。

トヨタ・ヨーロッパは2020年初頭、4気筒のスープラを導入するかどうか、相当に悩んだようだ。英国では、フラッグシップの3.0Lモデルの販売に影響が出ると心配し、1年ほど保留になっていた。

トヨタGRスープラ 2.0(SZ/英国仕様)
トヨタGRスープラ 2.0(SZ/英国仕様)

ようやく2021年1月から、英国でも右ハンドルで2.0LのGRスープラが買えるようになった。4万ポンド(560万円)から5万ポンド(700万円)の価格帯で手に入る、本格的なスポーツカーは珍しい。正式に販売が始まり、筆者としてはとてもうれしい。

近年はクルマ好きの間でも、アルピーヌA110ポルシェ718ケイマンより、フォルクスワーゲンメルセデスAMGの高性能ハッチバックを選ぶ傾向が強まっている。その結果、自動車メーカーはスポーツクーペに手が出しにくい。

5万ポンド(700万円)以上の価格帯まで広げれば、BMW M2コンペティションやジャガーFタイプなど、選択肢の幅は広がる。しかしそれ以下の価格帯では、目ぼしいモデルは非常に少ない。

英国の場合、3.0Lのスープラが5万3035ポンド(742万円)からなのに対し、2.0Lのスープラなら4万5995ポンド(643万円)から。見た目では、3.0Lが19インチホイールを履くのに対し、2.0Lでは18インチになるのがわかりやすい違い。

4気筒化に伴い100kgの減量で1395kg

マフラーカッターの直径は、3.0Lのスープラより10mmだけ細くなる。鋭い人なら、気づけるかもしれない。さらに車重は100kgも軽くなり、1395kgに仕上がっている。

3.0L版のスープラには、BMW製の直列6気筒ユニットが載っている。一方で2.0Lの場合、シリンダー数が4本へ減り排気量が小さくなり、ユニット自体も軽くなる。

トヨタGRスープラ 2.0(SZ/英国仕様)
トヨタGRスープラ 2.0(SZ/英国仕様)

この2.0L直列4気筒ターボユニットは、基本的にBMW 330iに搭載されているものと同じ。スープラのフロント後方へ、縦置きされる。直列6気筒ではフロントタイヤの軸上よりエンジン前部がはみ出るのだが、4気筒なら内側に収まる。

エンジンが100kgの減量すべてを叶えたわけではないものの、かなりの部分で貢献しているという。最も軽いスープラなら、PDKを搭載したポルシェ718ケイマンより、30kgしか重くない。トヨタを褒めるべきかもしれない。

排気量が小さくなれば、パワーとトルクは小さくなる。動的性能も、穏やかになる。

3.0Lでは339psあった最高出力は257psへ、58.9kg-mあった最大トルクは40.7kg-mへ低下している。0-100km/h加速時間は、4.3秒に対し5.2秒と、0.9秒増えている。アクセルペダルを踏み倒しても、最高速度はどちらも249km/hで制限がかかる。

確かに3.0Lより2.0L版のスープラは遅い。だが、4万5995ポンド(643万円)からという価格帯で見れば、充分お値打ちといえる内容だ。燃費も、12.2km/Lから13.7km/Lへと伸びるという。

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