【落札】完売マクラーレン「スピードテール」、オークションに 3.4億円の好結果も、手放しで喜べぬワケ

公開 : 2021.01.28 06:15  更新 : 2021.10.11 09:40

知っておきたいオークションの真実

高額で落札されれば売り手はほとんどの額を手にできると思えるが、世の中はそんなに甘くないのである。

スピードテールの327万7500ドルという落札額だが、ここには10~12%の重乗した落札手数料が含まれている。会場でのハンマープライス(落札額)は297万5000ドルなのである。

落札額だけを見ると売主は大儲けしたように思えるが、実際には購入額と大差ないうえ、出品したことで失うものも。
落札額だけを見ると売主は大儲けしたように思えるが、実際には購入額と大差ないうえ、出品したことで失うものも。    Ted Seven aka Ted7/RM Sothebys

出品されたスピードテールのオーナーには、ハンマープライスから出品手数料の10%が引かれるため、手許に入るのは267万7500ドル(約2億7846万円)に過ぎない。

発表された落札額だけを見ると売主は大儲けしたように思えるが、実際には購入額と大差なかったのである。

それよりも納車直後に転売したことが公になり、ディーラーやマクラーレン社からの信頼を失い、ブラックリスト入りしたはずだ。これで次のアルティメット・モデルを売ってもらえないデメリットを考えると、今回の出品は正解ではなかったといえる。

結局のところ、売り手と落札者から手数料を得るオークションハウスが、しっかりと稼いでいたのである。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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