【三菱DNAここに】三菱エクリプス・クロスPHEV試乗記 エクリプス名乗る価値あり

公開 : 2021.02.03 11:45  更新 : 2021.10.11 14:50

忠実なハンドリング

操作に表れたドライバーの意志に忠実なのはハンドリングも同様である。

公道試乗では試せないが、先だって開催された雨天下のショートサーキットではグリップ限界を超えた領域まで卓越したコントロール性を示した。

三菱エクリプス・クロスPHEV
三菱エクリプス・クロスPHEV    神村 聖

深いブレーキングを残した進入や定速からのターンインなどのコーナリングを試してみてもコントロール性にかげりはない。

後輪を滑らせて軽いカウンターステアで制御しているときでも効率良く旋回力を稼ぎラインに乗っていく。

ASCの介入も力学的限界を踏み外したときくらい。セオリーに則ったコントロールをしていれば思い描いたとおりになるのだ。

低μ(ミュー)路でのスポーツドライビングに比べれば一般用途でS-AWCのアドバンテージは少ないが、それでも操舵に素直な操縦性とライン維持時の落ち着きなど据わりのいいハンドリングは欠かせない走りの魅力の1つ。

スポーティなキャラ相応に引き締められ、重量感がありながら収まりのいい乗り心地もあって良質なフットワークは高速長距離走行に適したものだが、運転支援機能に多少の不満も。

ACCは停車保持機能も備えた全車速型だが、車線維持支援機能は逸脱警報システムどまり。

直進維持の安定も良好とはいえ、操舵支援による走行ライン制御型LKAの普及を考えると気になる部分である。

エコ+走り+アウトドア

ツウ好みのファン・トゥ・ドライブを求めてSUV、しかもエコ志向のPHEVというのも妙に思えるが、ハンドリングにこだわるなら応えるに十二分な実力を備えている。

SUVながら車名に「エクリプス」を冠するのも納得できる。コンパクトSUVのなかでの大きなアドバンテージだ。

三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV

SUVとしては実用性も踏破性もウェルバランス。レジャー用途にも悪くない。

もっとも、コスパではかると分が悪い。

ターボ車に対してはざっくり130万円高。居住性や荷室容量が同等のRVRに対しては装備機能差はあるにしても価格差は170万円以上。

同じパワートレインを採用するアウトランダーPHEV対比では20万円安い見当だが、キャビンや荷室の拡大でレジャー用途の使い勝手はエクリプス・クロスの1クラス上。実用性を主眼に選ぶタイプではない。

先進エコ/ファン・トゥ・ドライブ/アウトドア・レジャーの3要素を求めてこそ価値ある価格。

いずれかの要素だけなら上回るモデルを見つけるのは難しくないが、すべてを揃えようとすれば途端にハードルは高くなる。この3要素を求めるユーザーにとってエクリプス・クロスPHEVは稀少な1モデルなのである。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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