【三菱DNAここに】三菱エクリプス・クロスPHEV試乗記 エクリプス名乗る価値あり

公開 : 2021.02.03 11:45  更新 : 2021.10.11 14:50

純・三菱車のエクリプス・クロスPHEV試乗記です。三菱らしい走りにエコの付加価値、唯一無二のクルマです。

純・三菱

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

外観はもはや別のクルマ、という程の変身を遂げたエクリプス・クロス

もともとスポーツ志向のスペシャリティとタウン&レジャー向けの実用性を兼ね備えたSUVであり、外観の変化は軸脚をタウン&レジャー向けに移したイメチェン。コンセプトそのものに大きな変化があった訳ではない。

三菱エクリプス・クロスPHEV
三菱エクリプス・クロスPHEV    神村 聖

このマイナーチェンジの注目点は外観だけではない。上級仕様として設定されていたディーゼル車は廃止され、代わってPHEV(プラグインハイブリッド)が導入されたのだ。

PHEVシステムは基本的にアウトランダーと共通。エンジンを発電機として用いモーターによって駆動するシリーズ式をベースに、高速巡航用にエンジンによる直接駆動機構(前輪)を付加。

直動機構は巡航ギアのみで変速機能はなく、直動機構走行中はパラレル式として制御される。シリーズ/パラレルのスイッチング式とでも理解すればいいだろう。

なお、外部充電は普通充電とチャデモ規格の急速充電に対応している。

PHEVの主目的は燃費の向上にあり、WLTC総合モードでは16.4km/Lのハイブリッド走行時燃費と57.3kmの満蓄電時EV航続距離を達成。

同時に三菱の四輪駆動制御技術の象徴的存在でもあり、駆動力の精密制御が可能なツインモーター4WDを用いたS-AWCは新型車の大きな見所。三菱の走りを象徴でもあるのだ。

車格以上のドライブフィール

蓄電量が十分な状態では電動走行持続。高速巡航に入っても直動機構は作動しない。

蓄電量が減少してハイブリッド走行に入っても低中速域や加減速ではシリーズ式で制御されるので駆動力は純電動。

三菱エクリプス・クロスPHEV
三菱エクリプス・クロスPHEV    神村 聖

ある意味、エクリプス・クロスPHEVにとって電動走行がスタンダードであり、直動機構は巡航専用のエコ機能と捉えるべきだ。

同じシステムを用いるアウトランダーPHEVとの制御の違いはシリーズ式の制御領域。ハイブリッドモードで同じように巡航させていても直動機構の作動速度が5-10km/hくらい高く、加速で直動が解除されるアクセル開度も小さめに感じられた。

パラレル式駆動での100km/h巡航時のエンジン回転数は約2600rpm(計算値)。内燃機車と比べると回し気味の設定だが、穏やかなエンジン騒音と揺らぎなく速度と一致したエンジン回転数が余力感を演出。車格以上の悠々としたドライブフィールである。

直動巡航からシリーズ式駆動への移行も自然だ。ペダル踏み込み量と踏み込み速度に応じて直動機構を解放。

素早く加速に移行したい時は早めに、緩やかな加減速では粘らせるなど、ペダルコントロールに表れたドライバーの意志を汲み取るように反応してくれる。悠々クルージングも切れ味いい加速もドライバー次第というドライバビリティである。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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