【25年の進化】ロータス・エリーゼ・スポーツ240 ファイナルエディションへ試乗 フェイズ3

公開 : 2021.02.19 08:25

現代のライトウェイト・スポーツを代表するエリーゼ。パワフルな240psエンジンを搭載し、有終の美を飾ります。英国編集部が評価しました。

スポーツ220に23psを上乗せ

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国のスポーツカーとして幅広く愛され、自動車のアイコンとして歴史に刻まれるべきロータス・エリーゼ。ついに最後の華を咲かせる時がやって来た。

初代エリーゼが発売されたのは、1996年。チャールズ皇太子とダイアナ妃が離婚し、人気バンドのテイク・ザットが解散した年だった。世界初のクローン哺乳類、羊のドリーが誕生した年でもある。

ロータス・エリーゼ・スポーツ240 ファイナルエディション(英国仕様)
ロータス・エリーゼ・スポーツ240 ファイナルエディション(英国仕様)

だいぶ昔のことのように思える。しかし2021年の秋までは、新車のエリーゼが手に入る。ファイナルエディションの仕様で。

エリーゼに関係するファイナルエディションには、現在で5種類が用意されている。まだ販売継続中のエキシージ系に3種類と、エリーゼ・スポーツ240、サーキットへ焦点が向けられたエリーゼ・カップ250から選べる。

そのなかで英国編集部は、エリーゼ・スポーツ240を取り上げることにした。このエリーゼは、今では選べない標準のスポーツ220と呼ばれるクルマがベース。そこへ23psを上乗せし、243psを獲得している。

車名に220と240が付いているのに、243psへパワーアップしていることに疑問を感じるかもしれない。日本で一般的に用いるpsは、英国で一般的なbhpより少しだけ測定値が異なる。1psで0.986bhpに相当することが理由。一応、ご参考までに。

スポーツ240 ファイナルエディションの英国価格は4万5500ポンド(655万円)。少々高く思えるのは、2018年まで存在した自然吸気の1.6Lエンジン版に、お買い得な価格が付いていたからだろう。最近のエリーゼは、こんなものだ。

25年続けられたフェイズ1からの進化

スポーツ240の英国価格は、スポーツ220より3800ポンド(54万円)高いだけ。この価格差でパワーアップが得られる上に、美しく超軽量な鍛造アルミホイールも手に入る。

肉厚なステアリングホイールと、ロータス初となる液晶モニターのメーターパネルも装備される。専用エンブレムにボディカラーなど、沢山の専用オプションも追加される。一方で、サスペンションやブレーキ、トランスミッションなどは標準のまま。

ロータス・エリーゼ・スポーツ240 ファイナルエディション(英国仕様)
ロータス・エリーゼ・スポーツ240 ファイナルエディション(英国仕様)

ロータスによれば、スポーツ240は限定生産だというが、何台なのかは明らかにしていない。販売期間中に購入を申し込んだ人にだけ作られる、ということなのだろう。

登場から25年が経過するエリーゼだが、その魅力は色あせていない。これまで、初代のフェイズ1から現行のフェイズ3まで進化を続けてきた。ポルシェ911のように1から設計し直し、新しいボディを与えてきたわけではない。

今のロータス・エリーゼは、初代の直接的な進化版。ロータスの以前のボス、ロマーノ・アルティオーリのスポーツカーに対するビジョンを受け継いでいる。

初代とは異なり、充分なスピードも備えている。243psという控えめな馬力以上に速い。0-100km/h加速では、MTに必要な変速でのタイムロスが気になるほど。

ドライビングポジションは初代と同じ。ステアリングホイールは位置調整できない固定式だが、ドライバーに完璧にフィットする。ペダルのレイアウトは、特に濡れたサーキットで不可欠なヒール&トウに理想的な位置関係にある。

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