【正式発表は2月末】メルセデス・ベンツCクラス・プロトタイプ 助手席試乗 継承と洗練

公開 : 2021.02.13 08:25

PHEVのバッテリー容量は倍増

C300eと呼ばれるガソリン・プラグイン・ハイブリッド(PHEV)と、C300deのディーゼルPHEVでは、バッテリー容量が従来からほぼ倍増。13.5kWhから25.4kWhへと大きくなる点がトピックとなる。

フリューによれば、PHEVのEVモードでの航続距離は99kmを達成するという。こまめな充電をしていれば、ガソリンスタンドに行く機会は大幅に減るだろう。

5代目 次期メルセデス・ベンツCクラス・プロトタイプ
5代目 次期メルセデス・ベンツCクラス・プロトタイプ

今回試乗したC300 4マティックが搭載するのは、258psの2.0Lガソリンターボで、20psのパワーを持つスターター・ジェネレーター(ISG)が組み合わされている。フルスロットルで約30秒間、27psを上乗せするオーバーブースト機能も備わる。

トランスミッションは9速AT。4マティックだから、四輪駆動が標準になる。

新しいCクラスのなかで、C300は一番パワフルというわけではないものの、ISGのアシストで威勢のいい加速が引き出せる。低いギアで中回転域から引っ張ると、特徴的な4気筒ユニットの鼓動も響いてくる。

低回転域ではエンジンは非常に落ち着いたマナーを示し、上級サルーンとしての訴求力を感じる。ボディ剛性も高めてあり、ステアリングフィールや操縦性も従来のCクラスから向上させたと、フリューは話す。

試乗車にはオプションの後輪操舵システムは備わっていなかった。それでもドライブモード次第でレスポンスが変化し、スポーティーさは明らかに高められているようだ。ターンインは鋭く、グリップ力にも不足はない。

さらに上質さを引き上げるという課題

姿勢制御も優秀で、操縦性には引き込まれるような流暢さがある様子。ボディロールは漸進的に発生し、コーナー途中に乱れた路面があっても、フロントタイヤは安定を崩さないようだった。

Cクラスの上質さを引き上げるという課題は、フリューたちが重要視していた部分。高負荷時でもエンジンからの音振は少なく、Cd値0.24という良好な空気抵抗のおかげで、風切り音などの発生も著しく少ない。

 メルセデス・ベンツで開発を担当するクリスチャン・フリューと助手席の筆者
メルセデス・ベンツで開発を担当するクリスチャン・フリューと助手席の筆者

新しいC300での高速クルージングは、心地よい落ち着きに包まれる。英国での予想価格は4万ポンド(576万円)程度だというが、それより2倍くらいするモデルに迫る洗練度だと感じた。

試乗車はサイドウォールが硬めのスタッドレスタイヤを履いていたが、乗り心地は驚くほどしなやかで穏やか。走行時の質感を引き立てている。

サスペンション構成は、フロントがダブルウイッシュボーン式、リアがマルチリンク式で先代と同じ。ハイブリッド・モデルには、エアサスペンションも指定できるようになる。

Cクラスの上質な走行フィールは、通常より10mm車高の下がるAMGラインでも極めて印象的なものだった。鋭い上下方向の入力がタイヤへ加わっても、車内へ不快な衝撃として届く場面はなかった。

助手席に限られたものの、メルセデス・ベンツは新しいCクラスに望まれる内容を与えることに成功した様子。訴求力に勝るモデルに仕上がる可能性は高いといえるだろう。

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