【より安いMTがイイ】キア・ピカント1.0 DPi AMTへ英国試乗 5速セミATにヒトコト

公開 : 2021.03.18 08:25

良好な乗り心地と、手頃な価格が魅力のキア・ピカント。欧州でフィアット・パンダやスズキ・イグニスなどの競合に当たるモデルを、英国編集部が評価しました。

1.0L 3気筒NAに5速セミATの組み合わせ

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最近改良を受けたフォルクスワーゲンUp!やフィアット・パンダスズキ・イグニスといったモデルがライバルとなる、キア・ピカント。3代目は登場から比較的まだ日が浅いが、新鮮味を保つためフェイスリフトが施された。

デザイン変更は、トップグレードのGTラインやXラインに適用された。安価なベースグレードの場合、パーソナライズ・オプションの拡充とアップデートしたインフォテインメント・システム、運転支援システムなどが中心となる。

キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)
キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

今回のフェイスリフトで力点が置かれたのが、パワートレイン。従来の1.2L自然吸気ユニットは、トップグレード以外で小さな1.0L自然吸気へ置き換えられた。100psを発揮するターボも追加となっている。

4速ATは落とされ、新しいロボタイズド5速マニュアル、セミATを獲得している。機構としてはBMWの古いSMGと似ている。5速MTもオプションとして選択できる。

トリムグレードは、キアで共通する展開。エントリーグレードの1では、14インチのスチールホイールに、ブラックのボディトリムでシンプルに仕立てられる。試乗車は3で、LEDのウインカーにボディ同色のトリムが付く。

クルーズコントロールやオートエアコン、15インチ・アルミホイールも装備される。昆虫の顔のようなフロントマスクは好みが分かれそうだが、全体としてはグレードを問わず陽気な雰囲気の見た目だと思う。

居心地の良い車内 物足りない動的性能

オーバーハングは短く、タイヤはボディの四隅に配置。14インチ・タイヤの方が乗り心地は良いかもしれないが、15インチのアルミホイールの方が見た目はずっとイイ。

インフォテインメント用タッチモニターはトップグレードだけでなく、試乗車の中級グレード、3でも標準装備。8インチと充分大きいものの、実際に押せるボタンも残されている。

キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)
キア・ピカント1.0 DPi AMT(英国仕様)

エアコンやオーディオのボリュームなどは、やはり従来的なダイヤルの方が操作しやすい。ステアリングホイールにも、賢明に選ばれた操作ボタンがレイアウトされている。実用性を保ちながら、車内の洗練度を高めている。

車内を詳しく観察すれば、価格なりの部分も見えてくる。レザー風のテクスチャが与えられたプラスティック製パネルは安っぽく、スイッチ類などはソリッド感が薄い。

だがシートは十分快適で、グラスエリアが広く車内は明るい。運転席の調整域にも余裕がある。居心地が良いとはいえるだろう。

1.0L 3気筒自然吸気ユニットの最高出力と最大トルクは、97psと13.2kg-m。欧州で売られる量産車としては、かなり非力な部類に入る。ピカントの車重は977kgしかないとはいえ、動的性能が物足りないことは隠せない。

高速道路の追い越し車線での加速は、かなりおっとり。エンジンやタイヤから盛大なノイズが車内に届き、高速での長距離ドライブを頻繁にしたいとは思えなかった。

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