【アルピナD3 Sリムジン試乗】アルピナがディーゼルに仕掛けたマジックに浸る

公開 : 2021.03.19 05:45  更新 : 2021.10.13 15:26

アルピナD3 Sに試乗しました。超扁平タイヤを履きながら滑らかな乗り心地を実現、アルピナ・マジックは健在です。

アルピナ」というブランド

text:Tatsuya Otani(大谷達也)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

ひょっとして、アナタはアルピナを誤解していないだろうか?

モータースポーツをバックグラウンドとして持つブランドだから、パフォーマンスが高いのはもちろんのこと、ややもすればスパルタンで扱いにくいスポーツモデルを連想しがちだが、実際にアルピナに乗った印象は大きく異なる。

アルピナD3 Sリムジン
アルピナD3 Sリムジン    神村 聖

パフォーマンスが優れているのはたしかだが、乗り心地は快適で洗練されており、ドライバビリティも極めて高いのがアルピナの実像なのである。

いまから20年ほど前、わたしは幸運にも創業者であるブルカルト・ボーフェンジーペンCEOにインタビューしたことがあるが、「アルピナというブランドをひとことで説明して欲しい」という問いかけに対して、ボーフェンジーペンCEOが最初に口にした言葉は「ダイナミック」でも「スポーティ」でもなく「ラグジュアリー」だった。

これに続いてパフォーマンスなどの要素も付け加えていったのだが、最初のひと言がラグジュアリーだったことは、このときまだアルピナを深く理解していなかったわたしには衝撃的でさえあった。

もう1つ、エピソードを紹介したい。こちらも幸運なことに、日本でアルピナ・ブームのきっかけを作った1980年代半ばのアルピナB7ターボ(E28ベース)に私は短時間ながら試乗したことがある。

このときは貴重なクルマだけにおっかなびっくり走らせたが、そんなわたしの不安をよそに、極めて扱いやすく、そして従順なマナーを示したことはいまも忘れられない。

アルピナのディーゼルという選択

そんなアルピナが2020年5月に発売した最新ディーゼルモデルの1台がD3 Sである。

アルピナ通であれば、これが3シリーズにディーゼル・エンジンを積んだモデルであることは一目瞭然。

アルピナD3 Sリムジン/ツーリング
アルピナD3 Sリムジン/ツーリング    アルピナ

「え? アルピナでディーゼル? 」と疑った人のために説明すると、アルピナはラグジュアリーブランドとしていち早くディーゼル・モデルの開発に着手。

1999年には「世界でもっともパワフルなディーゼル・サルーン」と称されたアルピナD10ビターボを発売している。

ちなみに全9モデルの現ラインナップ中、ディーゼルは5モデルでガソリンは4モデルと僅差ながらディーゼルが過半数を占めている。

しかも、全般的にはガソリンよりもディーゼルのほうが価格を低く設定していることもあり、日本での販売比率でもいまやディーゼルが5割を越えているそうだ。

もっとも、アルピナのディーゼルは安いから売れているというわけではない。ひとたび乗ればわかるが、ガソリン・エンジンとは明確に異なる図太いトルク感を備えていながら、従来のディーゼル・エンジンとは別物の好レスポンスを発揮。

つまり、既存のガソリン・エンジンとも異なればディーゼルとも異なる、いわば「第3のエンジン」というべきパフォーマンスとフィーリングを実現しているのである。

この記事に関わった人々

  • 大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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