ルノー・キャプチャー・インテンス

公開 : 2014.01.27 19:00  更新 : 2017.05.29 19:22

■どんなクルマ?

ヨーロッパを起点とし、今や世界的なムーブメントとなっているコンパクト・クロスオーバーのカテゴリー。同カテゴリーで販売される車種の多くは、AあるいはBセグメントのドライブトレインを流用し、SUVのような高い地上高とスタイリッシュなボディデザインを組み合わせ、高いファッション性と実用性を与えている。

欧州マーケットでもっともシェアを確保しているのはニッサン・ジュークで、ルノー・キャプチャーは次いで2位。次いでプジョー・2008となっている。市場全体の約95%が2WDモデルということからも、このコンパクト・クロスオーバーに求められているものはスタイリッシュな内外装と高い実用性、そして「インテリジェンスを感じさせる雰囲気」といえそうだ。

そんなマーケットにルノーが送り込んだキャプチャーが、ついに日本にも上陸する。欧州では数種のガソリン・エンジンのほかディーゼルもラインナップされるが、今日本仕様に用意されるのは1.2リッター直噴ターボ。トランスミッションは6速デュアルクラッチ・トランスミッションを組み合わせる。

グレードは2トーンのボディカラーを採用する「インテンス」と、単色のボディカラーほか各種装備をシンプルに抑えた「ゼン」の2種類。もちろん、両者に安全装備に関する違いはない。

■どんな感じ?

1.2ℓ直噴ターボと6速デュアルクラッチの組み合わせは、前述のように同カテゴリーの作法にならい、ルノー・ルーテシアと共有。前後のサスペンションはルーテシア・エステート(日本には未導入)から流用している。しかしながらそのドライビングフィールは、外観同様にルーテシアとはまったく異なるもの。

キャプチャーの最低地上高は200mmで、ルーテシアに対して80mmも高い。運転席に座ってみても、アイポイントの位置は明らかに高く、SUVのそれだ。けれど上下左右の視界は明るく広く、コンパクトとは言いにくいボディサイズながらも車体感覚はつかみやすい。ゆえに取り回しも良好で、もっともキャプチャーが走りまわるフィールドであろう、都市部の比較的狭い道路などでも苦労することはなさそうだ。もちろん運転があまり得意でない…というオーナーや免許を取得したばかりの初心者でも、それほど苦労することなく楽しむことができるだろう。

リッター100psちょうどとなる最高出力120psを発揮する1.2ℓ直噴ターボは、1.8~2ℓ同等と思えるほどのトルクを発揮。ゼロスタートの信号時などでも、1270kgの車体を軽々と加速させていく。最大トルクは2000回転で発生されるため、低~中回転域での力強さはとても1.2ℓとは思えない。

その強大なトルク域を、ゲトラグ製の6速デュアルクラッチが電光石火のシフトチェンジで上手に使い、気持ちよくスピードを乗せていってくれる。2500~2800rpmもまわっていれば、高速道路の巡航速度域で走ることができるので、エンジンノイズも車内にはほとんど伝わらない。ターボラグに関しても、小排気量ターボはスロットルの動きに1テンポ遅れて反応する…というのはもはや過去の話。ターボラグに関しても、タービンの存在を疑ってしまうくらいナチュラルだ。

もうひとつ注目はインテリアだ。今回の試乗車は上位グレードの「インテンス」で、ボディカラーはオレンジ×ブラックルーフの仕様。この外装色にはオレンジ×ダークカーボンのインテリアが組み合わされるのだが、この内装は鮮やか、そして華やかだ。

インパネ各部やシートにセンスよくオレンジカラーが配されるのだが、このシート表皮が面白い。なんと、ファスナーでシートに固定されているシートカバーなのだ。その名も「ジップシートクロス」なるこの装備、取り外して家庭で丸洗いすることもできるうえ、8種類ものカラーバリエーションがあるから、例えば季節ごとでコーディネートを楽しむ、なんていうのも面白そう。

■「買い」か?

取り回しにはほとんど苦労しないと言いつつも、実際にキャプチャーを目の前にすると、ほとんどの人が「意外と大きいな」と感じるだろう。全長4125×全幅1780×全高1565mmのボディは、その厚みのためか数値以上にカタマリ感を伝えてくる。しかし言い換えれば、それは決してスタイリッシュなだけでなく、キャプチャーはたしかな実用性をも兼ね備えたクルマということでもある。

キャプチャーの乗車定員は5人で、後部座席には大人3人が快適に乗れる。その際のラゲッジ容量は377ℓで、乗員ぶんの荷物はしっかり積載することができる。さらにこの後席にはスライド機構が備えられており、一番前まで出した場合は455ℓまで荷室容量は拡大する。

スタイリッシュなフォルムと、ライバルを圧倒する積載能力。そして車内空間が思わず楽しくなるインテリア。このクルマとなら、日々の生活がきっともっと楽しくなる。ルノー・キャプチャーはそう感じさせてくれる1台だ。

(佐橋健太郎)

ルノー・キャプチャー・インテンス

価格 2,598,000円
最高速度 192km/h
0-100km/h加速 10.9秒
燃費 18.5km/ℓ
CO2排出量 125g/km
乾燥重量 1270kg
エンジン 直列4気筒1197ccターボ
最高出力 120ps/4900rpm
最大トルク 19.4kg-m/2000rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記