自然な操縦性が強み ルノー・キャプチャー E-テック(2) 市街地で好マナー 気になる部分も

公開 : 2025.09.30 19:10

小変更でイメチェンのキャプチャー プラットフォームはルーテシアと共有 高級感が向上したインテリア 明確な強みの自然な操縦性 市街地で好マナーなハイブリッド UK編集部が試乗

市街地で良好なハイブリッドのマナー

大きなアップデートを受けた、ルノー・キャプチャー。英国には、6速MTが組まれる91psの1.0L 3気筒ガソリンターボも導入されるが、試乗したのは1.8Lガソリンターボに2基の電気モーターを組み合わた、ハイブリッドのE-テックだ。

トランスミッションは、4速オートマティック。クラッチやトルクコンバーターのない、ドグミッションという点が面白い。

ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

ハイブリッドのマナーは、市街地では良好。駆動用バッテリーは1.4kWhあり、低域では駆動用モーターだけで滑らかに走行可能。表示によれば、100kmほどウロウロしたが、43kmもエンジンを回さず走れたようだ。

ただし、アクセルペダルを踏み込むと、ノイズの増大へ速度上昇が一致しにくい。また渋滞時は、エンジンと電気モーターの切り替えで落ち着かない印象も伴う。ATは変速に消極的で、スポーツ・モード時は小さな変速ショックが伝わる。

確かな強みの自然な操縦性 軽快な反応

クロスオーバーとして、自然な操縦性は確かな強み。サスペンションは柔らかすぎず、ステアリングの反応は直感的といえる。トラクション/スタビリティ・コントロールの介入も上品で、手のひらへ伝わるフィードバックが好ましい。

ステアリングのレシオは中くらい。ドライバーを惹き込むほどではないが、反応は漸進的で滑らかに進路を選びやすい。高速道路では、もう少しどっしり感があっても良い。

ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

サスペンションはスポーティな味付け。姿勢制御は適度に引き締まり、軽快な身のこなしへ貢献している。カーブへ突っ込むとボディロールは小さくないが、高い速度域での安定性も良好。市街地では細かな揺れが目立つものの、不快なほどではないだろう。

トップグレードのエスプリ・アルピーヌの場合、アルミホイールは19インチ。路面の凹凸をサスペンションは処理しきれず、明確に乗り心地へ影響が出ていた。筆者が選ぶなら、安価なミドルグレードにするだろう。

気になるブレーキの効き 賢明な1択

若干気になったのが、ブレーキ。ペダル操作に対して、得られる制動力が一致しにくく思えた。必要以上に効く場面もあれば、予想より効きが弱いこともある様子。渋滞時は、速度管理が難しいかもしれない。

燃費は、複合的な条件で約180kmを走った平均が、22.3km/L。カタログ値へ迫る効率といえる。高速道路の巡航では、僅かに低下し21.2km/Lだったが、それでも優秀だ。

ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・キャプチャー・ハイブリッド E-テック160 エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

同クラスで賢明な1択といえる、キャプチャー E-テック。切れの良い容姿に、好ましいコストパフォーマンス、軽快な操縦性など、強みは少なくない。ハイブリッドシステムやブレーキなど、磨き込める余地はあるけれど。

◯:スタイリッシュなボディとインテリア 充実した装備 軽快で直感的な操縦性 優れたコストパフォーマンス
△:若干ギクシャクしがちなパワートレイン やや狭めの車内空間 荷室を削る駆動用バッテリー

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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