【ブランド最強PHEV】ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモへ試乗 700ps

公開 : 2021.05.05 08:25  更新 : 2021.07.27 14:50

シリアスに速いが、少し気が抜けている

路面の凹凸を巧みに吸収してくれるエアサスペンションの滑らかさは、メルセデス・ベンツSクラスのものとも遠くない。路面の剥がれなどでは振動音が聞こえてくるが、21インチのアルミホイールを考えれば、許容範囲だろう。

ステアリングホイールに配されたドライブモードのコントローラーでスポーツかスポーツプラスを選ぶと、アダプティブ・ダンパーとポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール(PDCC)が引き締しまる。同時に、V8エンジンが本気を見せる。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)

遠くに雷鳴が響くような、心地いいサウンドが聞こえ始める。オプションのスポーツエグゾーストでも、うるさすぎないところも良い。700psという数字ほどの勢いは感じられないものの、鋭く加速していく。

間違いなく、シリアスなほどに速い。ツインターボV8と電気モーターとの融合も素晴らしい。

しかし、2365kgという車重と、滑らかに変速する8速デュアルクラッチATのPDK、重く感触の薄いアクセルペダルという要素が融合し、700psと聞いて身構えるほどの瞬間的な反応は得られない。

ハイブリッドではないパナメーラの方が、アクセルペダルの反応はより自然で線形的。コーナリング時も余分な車重が、少し気の抜けた印象を与えている。

確かな手応えのステアリングホイールを操れば、意のままにパナメーラの向きを変えていける。四輪操舵システムはひと回りクルマが縮んだように感じさせ、反応はクイック。このクラスとしては特に機敏で、身のこなしが軽い。

ターボS E-ハイブリッドを悩ませる存在

コーナー出口では、トルクベクタリング付きのリアデフが機能し、アクセル操作でボディアングルの修正も可能。方向を定めたら、そのままロケットダッシュを決められる。

大径のカーボンセラミック・ブレーキも素晴らしい。ペダルの重み付けは好印象で、パナメーラの速度を効果的に落としてくれる。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)

最も積極的なドライブモードを選んでも、サスペンションはしなやかさを失わない。少しクルマが浮いたような感覚もあるが、同時に路面へ追従してくれる確かな感触もある。姿勢制御は見事。強い圧縮時や隆起部分の通過でも、安定性は失わない。

しばらく高速域を楽しんでから、ハイブリッド・モードに戻す。美しいインテリアに包まれた、心地良いラグジュアリー・サルーンへ戻る。長距離移動も安楽にこなせる。

筆者は、通常のパナメーラよりスポーツツーリスモの方がスタイリングは好みだ。使い勝手に優れる大きな荷室も付いてくるから、魅力度は高いのではないだろうか。

長くなったEVモードの航続距離と、700psへ高められた馬力は歓迎できる。だたし、通常のターボSの方が軽量で速くシャープなことは確か。英国価格は4520ポンド(67万円)も安い。

経済性やEVモードの航続距離を重視するなら、ターボSではない安価なE-ハイブリッドが理に適っている。電気モーターでの走りに惹かれていてパフォーマンスも譲れないのなら、タイカンが控えている。

パナメーラ・ターボS E-ハイブリッドの周囲には、悩ませる存在が少なくない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモ(英国仕様)のスペック

英国価格:14万2280ポンド(2134万円)
全長:5049mm
全幅:1937mm
全高:1428mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:33.3-34.5km/L
CO2排出量:65-69g/km
車両重量:2365kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:17.9kWhリチウムイオン
最高出力:700ps/5750-6000rpm(システム総合)
最大トルク:88.5kg-m/1500-5500rpm(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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