【期待どおり、盤石感】アウディRS6 アバント試乗 常連向きの刺激

公開 : 2021.05.07 12:20  更新 : 2021.10.11 14:50

アウディRS6アバントに試乗。期待裏切らない完成度から感じられる刺激と強さが魅力の1台といえます。

RS印のアウディ、それは外し技だった?

photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

思えばそれは奇妙だった。

銀や白黒といったドイツ的モノクロームの世界から抜け出したような鮮やかな青を纏ったアウディのワゴン、1994年にデビューしたRS2である。

アウディRS6アバント
アウディRS6アバント    神村 聖

ポルシェが手を貸した飛び切り速いモデル。RSのアルファベットがレーシングスポーツに由来することはよくある話だが、「アバント」のボディ形状が腑に落ちなかった。

今日ではメルセデスAMGBMWのMとならんで速いドイツ車の一群を形成しているアウディスポーツGmbH謹製のRSシリーズ。

その奇妙だったはずの出発点、ワゴンボディや加給によるハイパワーエンジン、AWDシステムが、21世紀のアウディに先駆者的な立ち位置を与えているから面白い。

ウェッジが効いたブリスターフェンダーや全身に鋭く入ったプレスライン。目の前に止まった赤いアウディRS6アバントは、アイドリングをやめてもなお、とてつもない威圧感を放ち続けている。

4代目となる現行のRS6アバントは昨年末に日本導入が開始されたニューモデルだ。

エンジンは600psを発生する4L V8ターボ、駆動はもちろんクワトロである、というとのハイオクをガブのみしそうなイメージだが、48Vマイルドハイブリッドや4気筒を休止させるシリンダーオンデマンドも人知れず装備している。

最強のRSモデルとはいえ、そこはアウディ。

インテリジェンスはちゃんと含まれている(?)と期待したいのだが、どうか。

アウディ随一の質感 オーナー像は?

鮮烈なスタイリングに呼応した質感高めの車内で最初に考えたのは、どんな人がこのクルマを買うのだろうか? ということだった。

職業とか自宅の作りや場所、服装などなどである。

アウディRS6アバント
アウディRS6アバント    神村 聖

例えば普通のA6ならば、オーナーの周辺事情を問わない感じがあるし、ポルシェ911あたりでも「あぁクルマ好きなのね」というだけ納得がいく。けれどRS6アバントは似合う似合わないがはっきりしているように思えた。

ワゴンだからといって荷室をキャンプ道具でいっぱいにして週末の渋滞にハマるような家族的な人はお呼びでない感じだ。

オーナー像の話はさて置き、高速道路で試した600psはやっぱり凄かった。2.2tという車重はそのまま車体の重厚感に繋がっているが、その重みを苦にしないほどのパワーがエンジン回転のほぼ全域で感じられる。

RSスポーツエキゾーストというオプションが装着された排気系は、スロットルを深く踏み込むと雷鳴のような音を轟かす。

ちょっとやり過ぎな気もするが、そもそも刺激が欲しい人の乗り物なのだから、ケチをつける筋合いはないだろう。

セラミックブレーキのオプションが装着されていたので、減速も軽い踏力でこともなげに完了する。

コースティングが介入すると若干エコな匂いもするが、基本的には「押しの一手」の1台。見た目だけでなく走りに関しても「2000万円くらい当然しちゃうよね(定価は1764万円)」という動的、静的な質感の高さこそがRS6アバントの特徴だ。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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