【AUTOCARアワード2021】ベントレー危機管理部門 イノベーション賞 柔軟な新型コロナ対応で

公開 : 2021.06.11 06:25

VWグループの見本となった対応

工場閉鎖の決定は、英国で最初のロックダウンが発表される前の週に行われたが、これはベントレーの積極的なアプローチをよく表している。

「役員会では、社員の安全を第一に考えていました。手に負えない状況になったのを見て、最初に考えたのは『全員を家に帰そう』ということでした。どのくらいの期間かはわかりませんでしたが、2~3週間くらいかなと思っていました。わたし達は社員を安全な場所に避難させてから、何をすべきかを考えることにしました」

コロナに対する情報が錯綜する中、ベントレーは迅速に対策を修正してきた。
コロナに対する情報が錯綜する中、ベントレーは迅速に対策を修正してきた。

何をすべきかを考えるには、イングランド公衆衛生局(PHE)、インペリアル・カレッジ、そしてフォルクスワーゲン・グループからの情報が必要だった。CMTの最初の安全計画では250以上の個別の対策が打ち出されており、それがやがてグループの兄弟ブランドにとって青写真のような役割を果たすようになった。

ベントレーは英国の自動車メーカーとして初めてPHEの新型コロナのリスクアセスメントを公表し、7週間後には生産を再開することができたが、当初は生産能力が50%に落ちていた。

安全性だけでなく、現場のスタッフが快適に過ごせるような環境作りにも力を入れた。例えば、休憩スペースのテーブルにプラスチック製のスクリーンを設置することで、同僚と近くで食事ができるようにした。フォンテーヌは、この対策には多くの創造性が必要だったと語る。

「スタッフはわたし達を信じてくれていました。不満の声は一言もありませんでした」

その信頼の一端は、もう1つの革新的なアプローチであるコミュニケーションにあった。広報チームは大きな転換を行い、時間の大半をマスコミや一般市民への宣伝ではなく、従業員とのコミュニケーションに費やした。

それは、現場にいないスタッフ(従業員の半数以上はリモートワーク中)とのつなりを維持するためであり、また、戻ってくるスタッフに何を期待しているのかを説明するためでもあった。

スタッフが現場で見たのは、ある意味、動く標的のようなものだった。ベントレーは、ウイルスに関する知識や政府のアドバイスが変わるたびに、対策を修正し続けた。ここでも、スピードと革新性が重視された。計画Aが失敗しても、計画B、C、Dなどがすでに進行しているように、ベントレーは複数の解決策に同時に取り組み始めた。

「わたし達はプロセス思考を学び、それぞれのトピックをプロセスとして捉えました。症状が出ていることをどうやって知るのか、その人の気持ちをどうやって知るのか。彼らの安否はどうやって判断するのか。孤立している人をどうやって見つけるのか。出勤できる人をどうやって見分けるのか。すべて『プロセスは何か』ということに帰着します」

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