【羽ばたけないガルウイング】メルセデス・ベンツSLRマクラーレンとブリストル・ファイター 中編

公開 : 2021.07.03 17:45

21世紀が始まって間もない頃に誕生した、SLRマクラーレンとファイター。320km/h超の最高速へ挑戦した、2台のスーパーカーをご紹介します。

エンジンはバイパー用の8.0L V10

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
21世紀の技術を積極的に採用する高級車メーカーへ挑む場合、やや時代遅れの英国ブリストルにとって、大型サルーンでは太刀打ちできない。スーパーカーの購買層なら、もう少し寛大にモノを見てくれそうに思えても、不思議ではない。

高性能サルーンに載るような、コスト増を招く特殊な仕掛けや装備は必要ない。どちらかといえば、スーパーカーの方が生産は容易で、見込める利益率も高かった。ブリストルの新会長、トビー・シルバートンもファイターの設計に期待を込めただろう。

ブリストル・ファイター(2004〜2011年/英国仕様)
ブリストル・ファイター(2004〜2011年/英国仕様)

ブリストルの過去へ習うように、ファイターも職人の手によるアルミニウム製ボディが与えられ、クライスラー社製のエンジンが載せられた。だが従来のV型8気筒ではなく、ダッジ・バイパー用の8.0L V型10気筒が選ばれた。

2010年にブリストル・オーナーズクラブでプレゼンテーションを行ったシルバートンは、クライスラーが過去にランボルギーニを所有していたという事実をアピールしている。ピックアップトラックと同じユニットだという点には、目をつぶり。

カムはプッシュロッドで動かされ、標準仕様のファイターでは532psを発生。機構的にはシンプルで、V10でありながら重さは239kgに留まった。

エンジンの搭載位置は、レーザーカット・シャシーのフロント部分の、かなり後方。プロポーションはSLRにも近い。ブラバムでF1の開発技術者を務めていた、マックス・ボックストロムによって設計されている。

911より短い全長に1600kgの車重

サスペンションはダブルウイッシュボーン式。ボディ下部をフラットにするという目的で、エグゾーストパイプは極太のサイドメンバー内を貫いている。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの風洞実験では、ファイターの木製モデルはCd値0.27を記録。優れた空気抵抗を示していたが、実際の最低地上高の条件では、低くない全高が数値を無意味なものにしている。

ブリストル・ファイター(2004〜2011年/英国仕様)
ブリストル・ファイター(2004〜2011年/英国仕様)

ブリストル・ファイターは、ダッジ・バイパーより全幅が約100mm狭い。全長はポルシェ911より短く、車重もライバルの中では軽量な1600kgに収まった。当時のロードカーとして最もワイドなタイヤを履いていたが、コンパクトで小回りも良く効いた。

シートとステアリング、ペダルの関係性を強く意識したパッケージングが与えられ、195cm位ある身長のドライバーでも、問題なく運転席に座れる。不思議なことに、ブリストルのオーナーは背が高い傾向があるようだ。

大きなリアガラスはハッチバックで開閉でき、スペアタイヤも載っている。燃料タンクもフルサイズ。実用性も重視されていた。

1台のみATが組まれているが、残りはすべて6速MT。トップギアは伸びが良く、2500rpmで160km/hに到達できる。高速巡航なら8.9km/Lの燃費が得られ、最大800kmを無給油で走れる航続距離も自慢だった。

筆者はブリストル・ファイターを久しぶりに目にする。20年近く前の印象より、滑らかなフォルムは格好良く見える。

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