【直6かV8かはお好みで】ジャガーXJR(X300系) 驚きの高性能 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2021.07.17 07:05

20世紀を締めくくるべく、ジャガーが産み落とした高性能サルーン、XJR。快適で刺激的な走りが楽しめると、英国では人気上昇中。英国編集部が魅力をご紹介します。

速いだけでなく洗練され静かで快適

text:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
X300系と呼ばれるジャガーXJは、フォード傘下で誕生した初のモデルだった。新体制による開発だったが、スタイリングやエンジン、快適性やスピードなど、100%ジャガーらしい仕上がりに安心したものだ。

さらに喜ばせてくれたのが、高性能版のXJRが当初からラインナップされていたこと。BMWやアウディ、メルセデス・ベンツとの競争に挑むため。

ジャガーXJR(X300系/1994〜2002年/英国仕様)
ジャガーXJR(X300系/1994〜2002年/英国仕様)

フォードはすべてを一定以上の水準にするべく、生産工場のアップデートと品質向上に努めた。そのおかげでX300系はそれまでのジャガーで最も信頼性が高く、不具合に悩まされることは少なかった。

さらにフォードは、ジャガーのエンジニアへ望み通りのクルマを開発できるだけの資金と自由を与えた。そこで誕生したのが、今回取り上げるXJRだ。

当時のAUTOCARはXJRに試乗し、こう評価している。「1990年代半ばで、最も能力に長けたハイパフォーマンス・カーといえます。速いだけでなく、非常に洗練され静かで快適。滑空するように走ります」

AJ16型の4.0L直列6気筒スーパーチャージャー・エンジンは、高級車志向の強い6.0L V型12気筒版より馬力もトルクも高かった。当時のBMW M5より加速性能に優れ、さらに快適性と静寂性も兼ね備えている。当時のドイツ勢には真似できなかった部分だ。

発表から3年後、ジャガー最大の市場となっていたアメリカからの要望に対応。XJRに4.0L V8エンジンが搭載された。エンジン長は短くなり、その空間を利用しバルクヘッドを追加。洗練性を一層高めている。

V8スーパーチャージャーの後期型

V8エンジンにもスーパーチャージャーが載り、非常にパワフル。最高出力と最大トルクの発生回転域は直6より上昇していたが、ジャガーの特長といえた低回転域でのたくましさは変わらず。運転の安楽さは継承している。

増加したパワーを受け止めるため、メルセデス・ベンツから堅牢なATを調達せざるを得なかった。それでもジャガーのトレードマークといえた、Jのカタチのシフトゲートは残っていた。

ジャガーXJR(X300系/1994〜2002年/英国仕様)
ジャガーXJR(X300系/1994〜2002年/英国仕様)

AUTOCARでは「安楽なクルージングとスーパーカー級のパフォーマンスが組み合わされています。非常に稀有で、充足感の高い融合といえるでしょう」。と絶賛。見かねたメルセデス・ベンツとBMWは、XJRに対抗できるモデルを用意することになる。

2001年に発表されたXJR 100スペシャルエディションは、500台の限定モデル。ジャガーを創業したウィリアム・ライオンズ卿の誕生100周年を記念したXJRで、究極のV8エンジン版といえるだろう。

英国の場合、中古車の価格帯の幅は広い。V8エンジンか直6エンジンかはお好みで。近年の整備記録には注意して選びたい。

ジャガーが生み出した傑作ドライバーズカー、XJR。カーブの連続する道ではスーパーカーを追い回せ、仕事で疲れた夕方には秀逸な快適性と静寂性で平穏に帰路を急げる。

突出したスピードと乗り心地に、優れたハンドリングが一体となったハイパフォーマンス・サルーンだった。XJRに匹敵する中古車は、価格帯を広げてもそう多くは見つからないはず。

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