完全無欠の設計哲学 ジャガーXJ220とXJR-15(2) グループC由来のV12 耳栓必須の爆音
公開 : 2025.09.14 17:50
グループCカー由来のエンジンを積むジャガー 社内で密かに進められた曲線美のXJ220 TWRが同時期に開発したXJR-15 身内対決となった2台のスーパーカーを、UK編集部が振り返る
もくじ
ーXJR-9のシャシーとエンジンを転用
ー世界初の量産カーボン製モデル
ーXJR-15は純粋なレーシングカー
ー耳栓必須の爆音が共鳴する車内
ー最も操縦性に優れたレーシングカーの1台
ージャガーのスーパーカー 2台のスペック
XJR-9のシャシーとエンジンを転用
ジャガー・スポーツによる新モデル、XJR-15で、V型12気筒エンジンの魅力は提供できるとトム・ウォーキンショー氏は考えていた。そのうえで、ジャガーXJ220にはV6ツインターボが採用されたといえる。
一層シリアスなジャガーの可能性を信じた彼は、1988年のル・マンを優勝したグループCカー、XJR-9へ着目。シャシーとエンジンの技術を流用する独自プロジェクトを、1989年の春に発表する。

1988年をリタイアした別のマシンから、モノコック構造を展開。公道走行できるXJR-8を狙ったデザインは、ピーター・スティーブンス氏へ任されたが、難航したという。
「この開発プロジェクトを、ジャガーの上層部は知りませんでした。(CEOだった)ジョン・イーガンさんが知ると、TWRとのベンチャー事業の一環として、ジャガー・スポーツを名乗るよう指示がありました」。スティーブンスが振り返る。
世界初の量産カーボン製モデル
果たして、XJR-15は世界初の量産カーボンファイバー製モデルになっただけでなく、XJR-9より優れたマシンへ仕上がった。充分な全高を持つボディには、固定式のフロントガラスが組み付けられ、前後のライトは公道用モデルの要件へ合致した。
ミドシップされたのは、XJR-9譲りのオールアルミ製V12エンジン。排気量は7.0Lから6.0Lへ縮小され、公道仕様の最高出力は456psへデチューンされた。操縦性を高めるためだと、制限されたパワーは説明された。

それでも、車重が400kg重いXJ220のパフォーマンスを霞ませるには充分だった。XJR-15の発売は、XJ220の量産が始まる2年前。同郷の2台のミドシップ・スーパーカーが、市場でぶつかることは火を見るより明らかだった。
XJR-15は純粋なレーシングカー
スティーブンスは、当時をこう振り返る。「TWRのアンディ・モリソンさんは、高性能スポーツを同時に開発した理由を、説明する必要がありました。そこで、F1のサポートレースとして、XJR-15でのインターコンチネンタル・チャレンジを思いついたんです」
レースは合計3戦で、XJR-15の購入者へ参加権利が与えられ、優勝賞品は新車のジャガーXJR-S。賞金はXJR-15の価格に相当する、100万ドルが用意された。こうして、純粋なレーシングカーという位置付けが与えられた。

1992年までに、プロトタイプのR9Rが2台、XJR-15は50台が生産されたが、チャレンジへ参戦したのは16台。残りの殆どは、公道用ジャガーとして改造されている。
今回ご登場願った車両は、シャシー番号048。韓国サムスンのオーナーが購入し、レーシングドライバーのファン・マヌエル・ファンジオ2世のドライブでチャレンジを戦っている。シルバーストーンでは見事優勝し、賞品のXJR-Sが贈られた。
















































































































