ジャガー『XJ』は6気筒エンジンも搭載予定だった 幻に終わったフラッグシップセダン

公開 : 2025.11.05 06:45

2021年に開発中止となったジャガーの新型『XJ』は、EVだけでなく6気筒エンジン搭載車も計画されていたようです。元デザイナーのイアン・カラム氏が明かしました。実現していれば大きなメリットとなった可能性も。

実現していればジャガーの運命を変えていた?

2021年に開発中止となったジャガーのフラッグシップセダン『XJ』は、これまでバッテリー駆動のパワートレインを採用すると考えられていたが、内燃機関を搭載する可能性もあった。

XJのデザイナーを務めていたイアン・カラム氏はAUTOCARの取材で、「必要に応じて6気筒エンジンを搭載できるよう設計されていた」と語った。

ジャガーXJ(2010年)
ジャガーXJ(2010年)

もし実現していれば、ジャガーはEV需要の変動に対応する柔軟性を得ることができたはずだ。XJの導入計画が中止された2021年時点では、EV市場の成長予測はまだ楽観的だった。

競合他社はこの需要不足で打撃を受けており、中でも顕著なのがメルセデス・ベンツだ。AUTOCARは最近、メルセデス・ベンツがEQEEQSセダンの生産を早期に終了し、新型Sクラスでは内燃機関とバッテリーEVをラインナップする計画だと報じた。

カラム氏はXJの具体的なパワートレインについて詳述しなかったが、レンジローバーやレンジローバー・スポーツに搭載されている直列6気筒エンジンを採用していた可能性が高い。いずれも、新型XJが採用する予定だったMLAプラットフォームをベースにしている。

カラム氏はまた、歴代のXJとは異なり、ショートホイールベースとロングホイールベースの2種類のボディを用意しない予定だったことも明かした。「2つのホイールベースという伝統的な枠組みに縛られたくありませんでした。そこで、サイズ面で中間的な存在を創り出したのです」

さらに新型XJのデザインは「より威厳あるもの」となったが、これにはカラム氏は「反対した」という。

XJとSUVのJペイスに加え、カラム氏は新型Fペイスと、Fタイプの後継となったであろう新型のスポーツカーもデザインしていたそうだ。

カラム氏は2019年6月にジャガーを退社し、元同僚のデイビッド・フェアバーン氏と共にデザインコンサルティング会社「カラム・デザイン(Callum Design)」を設立した。XJの開発は2021年2月、ジャガーブランドの再構築を目指す「Reimagine」戦略の策定と同時に中止となった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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