【なぜ?】日本車の新モデル アメリカで発表されるワケ スポーツカー/SUVで顕著

公開 : 2021.07.06 06:20

ローグなど日本車のアメリカでの新型発表が相次いでいます。「アメリカ先行/日本後回し」の理由について解説します。

相次ぐアメリカでの新車発表

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

「また、アメリカでのオンライン発表か」

コロナ禍で新型車がオンラインでワールドプレミアされることに日本人ユーザーもすっかり慣れてきた。

北米で発表された日産ローグ
北米で発表された日産ローグ    日産

そのうえで、日本よりもアメリカ、または欧州やその他の地域でのワールドプレミアが優先され、結果的に日本での発売の順番が海外より後になるケースが目立つようになってきた。

とくに、スポーツカーやSUV、そしてEV(電気自動車)などの新技術領域で、日本よりもアメリカなど海外での発表や販売が優先されることが多い。

その理由について、メーカーによって、またはモデルによって違いがある。

スバルWRX 日本では販売終了も……

具体的な例をいくつか挙げてみる。

まずは、スバルのWRXだ。

スバルWRX STI S209
スバルWRX STI S209

SOA(スバル・オブ・アメリカ)の公式サイトに2021年6月末、WRXの2022年モデルワールドプレミアを間近に控えた告知が載った。

一方、日本のスバル商品サイトと企業サイトのどちらにも、WRXワールドプレミアに関する記載はなく、商品サイトのモデルラインナップではWRX S4とWRX STIの販売終了を知らせる表示が引き続き掲載されているのみだ。

WRX STIでは、長年親しまれてきたEJ20がWRX STI EJ20ファイナルエディションとして終焉する中、アメリカではS209が発売された。

さらに、WRXが北米仕様として2022年も継続発売されることについて、STI幹部は……。

スポーツカー大国アメリカへの期待

STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)の平岡泰雄社長によれば、「アメリカでのSTIはスバル車のグレードという認識がいまだにあり、今後は独立したブランドとしての価値を高めたい」という姿勢だ。
 
また、言わずもがな、スバルが過去10年で売上高が倍増した背景には北米市場での急激な販売数の伸びがある。

販売を支えているのは、フォレスターやアウトバックなど、アウトドア系のアクティビティの楽しむアイテムだ。

日産フェアレディZプロトタイプ
日産フェアレディZプロトタイプ    日産

一方で、アメリカではグローバルの中で、スポーツカーやハイパフォーマンス系の需要が最も高いという状況は60年代から2020年代のいままで大きな変わりはない。

実売数重視で、またスバルブランドのイメージリーダーとしても、スバルがWRXでアメリカ優先策を打つのは経営戦略上、当然なことだといえる。

こうした論法に、日産のフェアレディZも合致する。

アメリカでは「Z(ジィー)」と呼ばれ、70年代の初代から男性だけではなく、アクティブな女性を含めた全世代に支持されてきた。

だが、近年の370Zのユーザー層は中高年と若年の男性層が多くなった印象があるが、次期「Z」ではデザインテイストにZ32の雰囲気もあることから、日産としてはZ32時代のように女性層も取り込みたいところだろう。

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