【直感的で有機的】ノーブルM12 GTO-3へ再試乗 ミドシップの385ps 911とも比較 前編

公開 : 2021.08.05 08:25

ノーブルM12というスポーツカーをご存知でしょうか。誕生から20年という節目に、英国編集部が素晴らしいドライバーズカーへ再試乗しました。

M12ほど強烈な印象を残したモデルはない

text:Simon Hucknall(サイモン・ハックナル)
photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
内燃エンジンを搭載したクルマは、個性豊かだ。才能に溢れる高度な知識を持つ人物が、世界をリードするモデルを生み出してきた。すべてが注ぎ込まれ、洗練されたボディが与えられ、知的にPR活動が展開される。会社の収益へと結実する。

1999年、リー・ノーブルという見慣れない人物がAUTOCARを訪れた。彼が持ち込んだM10という手頃な価格のオープンカーは、キットカーのようにも見えた。正直、好感触は持ってなかった。

ノーブルM12 GTO-3(2002年/英国仕様)
ノーブルM12 GTO-3(2002年/英国仕様)

あまり気が乗らない中で、英国編集部はM10へ試乗した。ところがその翌週、紙面に掲載された文面は、「これまで運転してきた英国製ミドシップ2シーターの中で、最も完成度の高い、エキサイティングなモデルです」。という内容だった。

ノーブルの始まりだった。その4年後、筆者はM10より速い後継モデル、M12のGTOへ試乗した。これまで数百台という量のクルマに試乗しているが、M12ほど強烈な印象を残したモデルはほかにない。15年も昔のことなのに。

そんな特別なM12 GTOだが、以来、再び乗る機会は筆者にやってこなかった。でも2021年は、M12の誕生から20年を迎える。この機会を逃したら、今後も乗ることはできなさそうだ。

M12は、ノーブルが尊敬を集めることにつながった重要なモデル。少量生産のスポーツカーだけでなく、スーパーカーを専門とするブランドのモデルにも、立ち向かえる内容を備えていた。

フォード製V6にツインターボで314ps

ご存じない方のために、2001年に誕生したM12を振り返ってみたい。当時、300馬力前後のスポーツカー市場は熟しきった状態にあった。ロータス・エスプリはモデル後期にあり、ポルシェ911の996型もモデルチェンジを控えていた。

ノーブルはM10ですでに高い評価を得ており、市場に生まれていた空白を効果的に利用できた。小回りの効く開発体制を活かし、2年という短期間でM12はレスターシャー州の工場をラインオフした。

ノーブルM12 GTO-3(2002年/英国仕様)
ノーブルM12 GTO-3(2002年/英国仕様)

メカニズムは、基本的にM10と同じ。V6エンジンは、フォード社製のデュラテックを高度にチューニングし、ツインターボで過給。最高出力314psを獲得していた。シャシーは、スチールパイプを用いたスペースフレームだ。

ボディはグラスファイバー製で、ドアが2枚。サーキットから飛び出してきたようなフォルムに見えた。そんなクルマに、4万4950ポンドという手頃な価格が付いていた。

M12を成功へ導いた要因は、量産に必要な販売台数の設定と、部品の徹底したコスト管理。M12のボディとシャシーは、南アフリカのハイテク・オートモーティブ社に委託されていた。少量生産のプロ集団だ。

英国レスターシャー州の工場は、パワートレインの搭載と、最終的な組み立て作業に注力できる体制だった。効率的で継続性が高く、AUTOCARでは2001年のスペシャリスト・マニュファクチャラー・オブ・ザ・イヤーに選出している。

「ノーブルの成果は、160台もの注文を集めたことに表れています。小規模生産の会社は、成功した小さなスポーツカーメーカーへ成長しました」

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