クライスラー300C

■どんなクルマ?

フル・モデルチェンジを受けたクライスラー300Cは6月14日から英国で発売される。

クライスラーは、この300Cは全てが見直されたクルマだという。そのボディ・スタイルは、前モデルよりも長く幅広く、そして低い。また、そのアンダー・ボディの63%と、アッパー・ボディの53%にはスーパー・ストロング・タイプのスティールが使われている。

その姉妹車であるランチア・テーマは、昨年のユーロNCAP衝突安全実験で5つ星を得ているが、その安全性はこの300Cにも反映されているのだ。

そのサスペンションは、フロントが洗練されたウィッシュボーン、リアが5リンクという構成だ。サスペンション・ジオメトリーも見直され、より良いクオリティのブッシュがフロントとリアに使用され、ステアリングにはハイドロリック・アシストの付いた電動ポンプとというハイブリッド・システムが採用されている。

スタイリングは前モデルのコンセプトが引き継がれており、切れ込んだ深いサイド・ビューと小さなウインドー、そして大きなグリルなどを特徴とする。ホイール・アーチは新型では大きくなり、ヘッドランプとグリルも鋭くなっている。

その強固な構造ゆえに、クライスラーはこの300Cは、最も静かなクルマの1台だとアナウンスしている。音の絶縁や、ガラスやホイール・ライナーからの遮音を徹底的に施したとしている。

英国における300Cのラインナップは非常にシンプルだ。エンジンは1種類。236bhpを発する3.0リッターのV6ターボ・ディーゼルのみ。トランスミッションはオプションのパドル・シフターを持つ5速オートマティックだ。そのVMモトーリによって製造されるフィアット製のエンジンは、マルチジェットのデュアル・ダイレクト・インジェクション・システムを持つ。

トリムは2つのレベルが用意されている。リミテッド(35,995ポンド=438万円)と、エクスクルーシブ(39,995ポンド=487万円)の2種類。リミテッドはフルレザーとサテライト・ナビ、そしてヒート&クール・シートが装着される。一方、エクスクルーシブは20インチ・アロイホイール、ブラインド・モニタリング・システム、アクティブ・クルーズ・コントロール、衝突警告、ダッシュのレザー仕上げ、ダブルサイズのガラス・サンルーフ、そしてパドル・シフターを持つ。更に、オプションとしてパール・メタリック・ペイントとハーモン・カードンのハイファイが設定される。

今回、エステート・モデルは用意されないし、4気筒のCO2スペシャルも計画がないということだ。

■どんな感じ?

実際、驚きに値するほど良いクルマだ。何よりも300Cの洗練されたエンジンはパワー感があって素晴らしい。更に、20インチ・ホイールを履くエクスクルーシブは、絶妙にダンピングが効いていて、乗り心地とボディ・コントロールのバランスが上手くとれている。

ピークパワーは”僅か”236bhpであるが、その55.2kg-mという強大なトルクは1600rpmから導き出される。従って0-100km/h加速が7.4秒という俊足振りを発揮する。

予想外にシャシーの限界は高く、ドライバーはより高いスピードで駆け抜けることが可能だ。ホイールリムに加重が掛かっている時は、若干そのステアリング・レスポンスが遠くに感じられることもあるが、それも多くのアウディのモデルよりもマシで、ワインディング・ロードでは思った通りのラインをトレースすることができる。

高速でのキャビンの静寂さも特筆に値するものがある。

5速オートマティック・トランスミッションは非常に滑らかで、10mphを超えればスムーズに働き、それは決してエンジンのパワーの落ち込みを感じさせることはない。

ブレーキについても、制動力が強力であるばかりでなく、コントローラブルであった。

300Cは、時折、大パワーの伝統的なリア・ドライブ・モデルであるということを感じる時がある。しっかりとした反応は示すが、ステアリングがドライバーの入力にクイックに反応しない時がある。高速でのスタビリティは歓迎されるべきものだが、低速域においては若干ダルな印象を受けた。

長距離ドライブの安楽さ、大きなキャビン、そして14km/lをも可能とする燃料効率、そして豊富なオプション・リストは、エグゼクティブ・クラスの中にあっても300Cに強い競争力をもたすことに成功している。但し、キャビンのクオリティと固さについては、ヨーロッパ・クラスのベストとは言えない。

■「買い」か?

クライスラーは英国において、今年は450台、来年は750台の300Cを販売しようとしている。

300Cは決して偶然に買ってしまうクルマではない。アメリカ・オリジナルのスタイリングは、主流のプレミアム・ブランドをにとらわれず、自分の選択に満足できるオーナーのためのクルマだ。

当初は、スポーツ・サルーンとして、この300Cをとらえることはできなかったが、実際に乗ってみると予想外に緻密なクルマであり、印象的なほどのペースを保つことのできるクルマであるということも分かった。もしあなたが英国でモーターウェイを中心に長距離走行するのが主であるのなら、300Cは多くの利益を提供してくれることだろう。

(ヒルトン・ホロウェイ)

クライスラー300C

価格 39,995ポンド(487万円)
最高速度 232km/h
0-100km/h加速 7.4秒
燃費 13.8km/l
Co2排出量 191g/km
乾燥重量 2177kg
エンジン V型6気筒2987ccターボ・ディーゼル
最高出力 236bhp
最大トルク 55.2kg-m
ギアボックス 5速オートマティック

 
最新試乗記

人気記事