【グレードで納期に差】トヨタ・カローラ・クロス購入ガイド オプション/グレード選びの注意点

公開 : 2021.09.15 11:55  更新 : 2021.10.22 10:06

トヨタ・カローラ・クロスが登場。トヨタSUVの空席を埋める1台といえます。選ぶ際のポイントを紹介します。

トヨタSUV軍団の「空席」埋める

執筆:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

2021年9月14日にトヨタ・カローラ・クロスが発売された。

このクルマが好調に売れることは間違いない。

トヨタ・カローラ・クロス
トヨタ・カローラ・クロス    トヨタ

なぜなら今までトヨタのSUVラインナップで空席になっていた中心的な位置付けを、カローラ・クロスが埋めることになるからだ。

トヨタにはLサイズSUVとして共通のプラットフォームを使うハリアーRAV4があり、コンパクトサイズにはヤリス・クロスとライズが用意される。

それなのに中心に位置するミドルサイズのSUVは、C-HRのみだった。

しかもC-HRの外観は5ドアクーペ風だ。個性的でカッコイイ半面、後席と荷室は狭めになり、後方視界も悪い。

SUVの魅力は、存在感のある外観と実用性の両立にあるから、C-HRは本流になり得ない。

そのためにC-HRは、発売直後の2017年1~6月には1か月平均で約1万3200台が登録され、SUVの最多販売車種になったが、2021年1~6月は1か月平均が1800台だった。

C-HRはわずか4年間で需要の86%を失っている。

この売れ行きはトヨタにとって悔しいだろう。国内市場にピッタリなサイズのSUVはC-HRなのに、その売れ行きが著しく低迷しているからだ。

そこでカローラ・クロスを投入した。

ボディは扱いやすい大きさだが、着座位置はC-HRよりも46mm高く、膝から先を手前に引き寄せて足元空間を広げた。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はC-HRと同じだが、後席の居住性はカローラ・クロスが快適だ。

荷室にも十分な余裕を持たせた。

荷室長(奥行寸法)は、後席を使った状態で849mmだから、C-HRよりも約80mm長い。荷室容量は5名乗車時で487Lの余裕があり、C-HRの318Lに比べると1.5倍だ。

このようにカローラ・クロスは「ハリアーやRAV4ではボディが大きくて価格が高い。ヤリス・クロスやライズでは逆に小さい。C-HRのサイズはちょうど良いが、実用性が足りない」という不満に応えている。

そのためにカローラ・クロスは、トヨタのSUVラインナップの中心に位置するわけだ。したがって売れ行きも伸びる。

コストの低減で割安な価格実現

カローラ・クロスのエンジンは、直列4気筒1.8Lのノーマルタイプとハイブリッドだ。

C-HRのような1.2Lターボは用意していない。

トヨタ・カローラ・シリーズ
トヨタ・カローラ・シリーズ    トヨタ

また、カローラ・クロスのプラットフォームは、ホイールベースの2640mmまで含めて、C-HR、カローラ・セダン/ツーリング/スポーツと共通だが、2WDのリアサスペンションは変更を受けた。

C-HRやカローラ・シリーズは独立式のダブルウイッシュボーンだが、カローラ・クロスは海外仕様も含めて車軸式のトーションビームになる(ただし4WDはダブルウイッシュボーン)。

トーションビームにはスペースを節約して荷室を拡大するメリットもあるが、機能がシンプルだからコストの低減効果も大きい。

その結果、カローラ・クロスは、価格を割安に抑えることができた。

カローラ・クロスの安さが最も分かりやすいのは最廉価グレードの「G X」だ。

安全装備のパーキングサポートブレーキが省かれたりするので推奨はできないが、1.8Lエンジンを搭載して199万9000円としている。このサイズのSUVでは格安だ。

また、コンパクトなヤリス・クロスZ(221万円/2WD)と比べると、同程度の装備を採用するカローラ・クロスはS(240万円/2WD)になる。

価格はカローラ・クロスが高いものの、差額は19万円におさまる。

この差額でカローラ・クロスは、ヤリス・クロスに比べてボディが大きくなり、後席の居住性や荷室容量も大幅に向上する。

エンジンは直列3気筒1.5Lが、直列4気筒1.8Lに上級化される。

ヤリス・クロスもコンパクトSUVでは価格が割安で、高い人気を得ているが、カローラ・クロスはそれと同等か、さらに買い得だ。

そしてカローラ・クロスでは、ハイブリッドの価格も安く抑えられ、1.8Lノーマルエンジンとの差額は35万円だ。

同じエンジンの組み合わせになるカローラ・ツーリングでは、ハイブリッドが約43万円高いから、カローラ・クロスはハイブリッドを8万円ほど安く搭載した。

カローラ・クロスのWLTCモード燃費は、ハイブリッドが26.2km/L(2WD)、ノーマルエンジンは14.4km/Lだから、ハイブリッドであれば燃料代を45%節約できる。

そのために開発者は「カローラ・クロスの販売総数のうち、ハイブリッドが80%を占めると考えている。そのためにハイブリッドでは、後輪をモーターで駆動する4WDのE-Fourを選べるが、ノーマルエンジンは前輪駆動の2WDのみとした」と述べている。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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