【ロールス・ロイス級の乗り心地】シトロエンXM 英国版中古車ガイド 信頼性ならS2

公開 : 2021.10.21 08:25

オーナーの意見を聞いてみる

ポール・ブリーズ・ロバーツ

「XMは、特に電気系統の信頼性に欠くという評判を聞きます。シトロエンがプラグイン・アースと呼ばれる技術を採用したためで、エンジンルーム内でも、腐食でアースが取れなくなることが原因です」

シトロエンXM(1989〜2000年/英国仕様)
シトロエンXM(1989〜2000年/英国仕様)

「修理は可能で、後期タイプのリングアースに切り替えて、インナーフェンダーにボルトで固定すれば大丈夫。XMが亜鉛メッキされていない、という噂も誤解です」

「実際は二重亜鉛コーティングされているのですが、その弱点として、水が亜鉛コートに入り込む場合があるようです。アンダーシールが完全に施されたXMを所有していたことがありますが、腐食はまったくありませんでしたよ」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

XMで一番乗りやすいエンジンが、2.1Lのディーゼル。自然吸気で走りは緩慢ながら、極めて堅牢なユニットだ。2.0Lのガソリンターボは燃費が良くなく、速くもないため価格も安い。高めの価格が付くのが、3.0LのV6エンジンとなる。

ディーゼルの場合はヘッドガスケットの不具合がないか、ターボ付きの場合は青白い煙が排気ガスに混ざっていないか確かめたい。タイミングベルトの交換履歴も確認ポイントの1つ。

サスペンション

シトロエンXM(1989〜2000年/英国仕様)
シトロエンXM(1989〜2000年/英国仕様)

コーナーを少し速めに通過し、フィーリングを確かめる。柔らかく浮いているような印象を受ければ、状態が良い証拠。

ハイドラクティブのLDSオイルは、明るい緑色が正解。カーキ色は劣化しているサイン。4万8000km毎の交換が求められる。もしハイドラクティブの調子がおかしいと感じたら、ノーマル・モードとスポーツ・モードの違いを確かめるとわかりやすい。

路面の凹凸を通過して尖めの揺れが伝わるようなら、窒素の入ったスフェアの交換が必要かもしれない。といっても、スフェア1つの値段は25ポンド(4000円弱)。インターネットを調べれば、交換方法の情報も簡単に見つかるだろう。

電気系統

テールライトの故障警告が出る不具合が一般的。ライトが点灯する場合は、接点をクリーニングし、アース線を交換し、グローブボックス内のコンデンサが正常か確かめる。

LCDスクリーンのドット欠けは、画面裏のリボンケーブルを交換することで修理できる。サイドウインドウのレギュレーターは、湿気が原因で不調になることが多く、完璧な修理は難しい。部品自体は比較的安価に入手できる。

ボディとホイール

亜鉛コート内に水が入り、内側から錆びることがある。ストラット・トップやサイドシル、荷室のフロア、インナーフェンダー、ドア周辺やバンパーブラケットなどを確認し、サビの早期発見に努めたい。深く進行していることもある。

アンダーシールも完璧とはいえず、ドライバーなどで突いて、その内側を確かめたい。溶接作業を含むボディの修復と、アンダーシールの再塗布費用は予め見ておきたい。

フロントノーズはプラスティック製。ヘッドライト周辺にヒビが入ることがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

シトロエンの人気画像