【合計1600馬力の豪腕対決】シボレー・カマロZL1xサットン・マスタング 前編

公開 : 2021.10.30 09:45

781psと101.7kg-mへ自らチューニング

そしてもう1台、ゲイリー・ハンダ氏が手を加えたように、独自のワイルドなアメリカンというチョイスもある。

ゲイリーが目をつけたのは、オリジナルの雰囲気を残す見た目のシボレーカマロ。しかし英国では正式に売られていない。ゼネラルモーターズは、欧州で積極的にビジネス展開しようとは考えていない。

ゲイリー・ハンダ・モディファイド・シボレー・カマロ ZL1(英国仕様)
ゲイリー・ハンダ・モディファイド・シボレー・カマロ ZL1(英国仕様)

新しいC8コルベットは入ってくるが、お得意のマッスルカーを持ち込む予定はないようだ。右ハンドル車すら作っていない。

そこで彼は左ハンドル車を並行輸入し、自身でパフォーマンス・アイテムを調達した。書くのは簡単だが、実際は北米と英国の両方で多額の税金を支払うことになるから、相応の覚悟は必要だ。

ただし、代理店で輸入の代行はしてくれる。英国でナンバーを取る場合、法規に合致しないのはテールライトくらいだという。

ゲイリーが輸入したのは、2018年式のカマロ ZL1。6.2L V8エンジンには、スーパーチャージャーを自身で搭載している。プーリーを変更しブースト圧を高め、エグゾーストも社外品にすることで、781psと101.7kg-mを発揮するそうだ。

度肝を抜くチューニング、とまではいえないかもしれない。多くの混合気をエンジンに送り込み、多くの燃焼ガスを吐き出すように、マネージメント系もチューニングされている。だが、内部構造には手が加えられていない。

数字は大きいが、エンジンに掛かるストレスは、それほどでもない。5.0Lから859psだと、排気量1.0L当たりの出力は172psほど。フェラーリF8 トリブートは182ps/Lもある。回転数も7500rpmに留めてある。

スーパーチャージャーのノイズが聴覚を支配

今回2台を並べたのは、直接的な比較が目的ではない。シボレー対フォードのような。強力なマッスルカーを手にした喜びがどれほどなのか、確かめたいと思ったからだ。激しく攻め立てた時どんな走りを興じれるのか、実際に体験することで。

というわけで、最初にステアリングホイールを握ったのは、クライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタング

ガンメタリックのクライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタングと、ブラックのゲイリー・ハンダ・モディファイド・シボレー・カマロ ZL1
ガンメタリックのクライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタングと、ブラックのゲイリー・ハンダ・モディファイド・シボレー・カマロ ZL1

スプリングとダンパー、アンチロールバーに至るまで、サスペンションにも改良が施されている。通常のマスタングの緩い姿勢制御が改められ、路面にしっかり拘束された印象を受ける。

英国の一般道では、マスタングは幅が広い。ボディ剛性は高いようだがサイズが大きく、ある程度のしなやかさがあるためか、乗り心地は過酷というほどではない。

クライブ・サットン社の真骨頂といえる部分が、スキなく仕立てられたドライブトレイン。6速MTにはショートシフターが組まれ、引き締められたシャシーと同調するように、変速はタイトだ。

アイドリング状から少し回転数を高めただけで、スーパーチャージャーのうめき声が聴覚を支配する。アクセルペダルへ力を込めると、リアタイヤをねじ切らんばかりの衝動が放たれる。実際、リアタイヤは路面を掴みきれず激しく空転する。

そんな野蛮さを備えていながら、CS 850GTのドライビング体験に洗練という言葉がないわけではない。フォードがマスタングにGTという2文字を与えたように、グランドツアラーとしての性格も残っている。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シボレー・カマロZL1 × サットン・マスタング 比較試乗の前後関係

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