マセラティ・ビトゥルボ 英国版中古車ガイド 世界初のV6ツインターボ

公開 : 2021.11.22 08:25

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デビッド・グリーン

「4台のマセラティ・ビトゥルボを所有しています。とても気に入っていますよ。製造品質が悪く、錆びやすいという話をよく聞きますが、それは手入れが良くなかったためでしょう」

マセラティ・ビトゥルボ(1981〜1994年/英国仕様)
マセラティ・ビトゥルボ(1981〜1994年/英国仕様)

「エンジンは先進的なものでしたし、ボディパネルは溶接でつなぎ合わされています。ディーラーの数も英国では少なく、手に負えず放置された例が多かったようです。そもそも、英国の道を想定したモデルではありませんでした」

「ヘッドライトの後ろにタイヤの跳ねた泥が付き、腐食が進むんです。きれいに掃除していれば、サビは防げます。防錆処理すれば安心ですね」

「普段の足にしているのは、2.5Lのクーペ。速く信頼性も高く、錆もありません。最近は取り引き価格が上昇しているので、状態の良いビトゥルボを手頃に入手できれば、今後のクラシックカーとしての価値にも満足できるはずです」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

エンジンオイルは9600km毎、タイミングベルトは3万8000km毎の交換が推奨。整備記録を調べたい。タイミングベルト交換は、技術があれば45分ほどで済ませられる。ウォーターポンプの状態も一緒に確認する。

油圧はエンジンが温まった状態で、4kg/cmが正常値。長時間のアイドリング時に、冷却ファンが作動するかも確かめたい。

マセラティ・ビトゥルボ(1981〜1994年/英国仕様)
マセラティ・ビトゥルボ(1981〜1994年/英国仕様)

エンジンオイルとクーラントが内部で混ざっていないか、エンジン後方やバルクヘッド付近にエンジンオイルの汚れが付着していないかも確認ポイント。

トランスミッション

MT自体は比較的堅牢だが、クラッチやスレーブシリンダーが弱点。クラッチペダルのストロークが短い場合、不具合の証拠。4速ATは、初期の3速ATより信頼性で勝る。

ブレーキとサスペンション

ブレーキディスクに歪みがないか、試乗で確かめたい。ベンチレーテッドディスクなら、その心配は少ないはず。ハンドブレーキは力が弱く、状態が良くてもクルマを止めておくには不十分。

サスペンションは、ボールジョイントとブッシュ類の摩耗を調べる。トラックロッド・エンドはヘタりやすい。

電装系とインテリア

ハーネスや基盤のコネクターが酸化すると、抵抗値が増えて加熱し、不具合を引き起こす原因。パワーウインドウやエアコンなど、すべての機器類が正常に動くか確認したい。コネクターは接点の掃除で状態を保てるが、プリント基板の修復は難しい。

スイッチ類や天井の内張りなど、内装の状態もよく確かめる。

ボディ

ピラーやサイドシル、ウインドウの周辺、ボンネットの端など、サビがないか観察する。バッテリートレイや前後の灯火類付近も錆びやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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