新型メルセデス・ベンツCクラス・オールテレインへ試乗 伝統の能力+走破性 後編

公開 : 2021.12.06 08:26  更新 : 2022.11.24 15:43

最新Cクラス・ステーションワゴンに、悪路志向のオールテレインが登場。英国編集部は、拡充された能力を評価します。

オフロード・モードで高められた走破性

新モデルとなるメルセデス・ベンツCクラス・オールテレインは、通常のCクラスより車高が高く、重心位置も高い。そのためコーナリングでは、ボディの動きが増えがちだ。

積極的にカーブへ侵入すると、前後方向へ傾くピッチも、横方向へ傾くロールも、Cクラス・ステーションワゴンより大きい印象。スポーツ・モードを選んでいても。

メルセデス・ベンツC200 4マティック・オールテレイン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツC200 4マティック・オールテレイン(欧州仕様)

そのかわり、乗り心地はしなやか。試乗車にはオプションのアダプティブダンパーが組まれていたが、低速域での細かな入力も即座に吸収してくれていた。コンフォート・モードで高速道路を走らせれば、路面状況の変化から車内を隔離してくれる。

オフロード性能も高い。40mmのリフトアップに加えて、専用モードを備える4マティックが相乗し、通常のCクラスを遥かに超える走破性を叶えている。メルセデス・ベンツのドイツ・インメンディンゲン試験コースで、実際に試すことができた。

その専用モードは、オフロードとオフロードプラスの2種類。スタビリティ・コントロールを展開させ、ホイールのスリップをブレーキで制御することが特徴となる。

オフロード・モードは、主に砂利道や砂浜などに対応。オフロード・プラスは、勾配のある不整地や、ぬかるんだ状況などを前提としている。この2つのモードを選択すると、最高速度は109km/hに制限されるそうだが、悪路でそれ以上飛ばす人もいないだろう。

車内はクラス新基準といえる質の高さ

インテリアは、最新のCクラスに準じる。メーターパネルはモニター式で、インフォテインメント用としてダッシュボード中央に縦長の大きなタッチモニターが据えられる。快適性や操作性、知覚品質などは、このクラスの新基準といえる高さだと思う。

オールテレイン専用として、クルマの傾斜角やステアリング角を表示する機能が追加された。GPSの位置情報とコンパスも確認することができる。

メルセデス・ベンツC200 4マティック・オールテレイン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツC200 4マティック・オールテレイン(欧州仕様)

車内の中央を小さくないトランスミッション・トンネルが貫き、リアシート中央に座ると足の置き場に困る。とはいえ、車内空間自体に不満は感じないだろう。荷室容量はトノカバー下で490Lある。

ちなみに、競合するアウディA4 オールロードは495L、ボルボV60 クロスカントリーで639Lとなっている。リアシートの背もたれは40:20:40の分割で倒せ、最大で1510Lまで広げることも可能だ。

メルセデス・ベンツC200 オールテレインは多くの長所を備えるが、気になる部分もなくはない。マイルドハイブリッドの1.5L 4気筒ガソリンターボのパワーは日常的な速度域では不足ないものの、メルセデス・ベンツに期待するほどの洗練度は備えていない。

一方で、動的能力の仕上がりは高い。由緒あるブランドのステーションワゴンの伝統といえる、正確なステアリングに加え、クロスオーバーとして優れたオフロード性能も兼ね備えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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